獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200211-143

さぽね様へ
投稿日 2002年11月25日(月)00時04分 mama.mewmew

老齢の猫の看護、身につまされます。
私も16歳の猫を昨年看取りました。
腎臓は3年程前から徐々に機能低下し、2年程前から肝機能に異常が現れ始め、
食事療法や投薬で、何とか現状維持または悪化を遅らせる努力してきました。
獣医師とは治療方針について、よく話し合いました。
両方とも「延命目的ためだけの治療はしない」という意見が一致したので、
猫がより快適に余生を過ごすことができるような、治療&ケアを選択しました。
フードは治療食をそこそこに食べてくれたのでよかったのですが、
腎臓と肝臓の病気に対して、食事療法は全く正反対のことが求められるという
矛盾が生じて来ました。
亡くなる半年程前には心臓にも異常があることが判りました。
肝機能異常はおそらくガンであろうということも判ってきました。
投薬で補えることはしたつもりですが…
最後の2か月くらいからは腹水が溜り始め、
腹水を抜く処置をいつから始めるかという決心が求められました。
何故なら、腹水を抜き始めたら、多分1か月程度の余命になるからです。
しかし放っておけば、腹水のため呼吸が苦しくなり、心臓にも負担がかかる…
最後の1か月は毎日2回の皮下輸液と、1週間に1回の腹水抜きの治療でした。
毎日2度も通院することは猫にとって大変な負担になりますから、
私も皮下輸液は自宅で行いました。
幸い、猫が聞き分けがよかったので、私一人で注射をすることができました。
(書いてよいか判断に迷いましたが…獣医師の資格がない者が注射をするのは獣医師法違反になるそうです)
猫は次第に弱っていき、最後の3週間はトイレに行ってもトイレの縁をまたげなかったり、
入ってもきちんとしゃがめなかったりと、トイレ周りでお漏らしをするようになりました。
排便も浣腸が必要でした。
しかし、猫のプライドでしょうか、必ずトイレにいくので、周囲にトイレシーツを敷いて、
おしっこは好きなようにさせていました。
尿を濃縮する力がほとんどなくなっていたので、尿臭はあまり気になりませんでした。
最後の10日程は、自分の寝ている周辺1mくらいが生活範囲になったので、
水、食餌、トイレを寝床の側に置きました。
食欲がほとんどなくなった最後の1か月は、食べたい物を食べさせました。
辛かったです。見守るしかできない自分が。猫はもっと辛かったでしょうが…
最後の2日は、ほとんど徹夜でついていました。死は心臓の発作という形で訪れました。
飼い主はペットの死までの生命についてどんな責任を果たせるのか、
考えさせられた1か月間でした。文章が長くなって申し訳ありませんでした。
さぽね様もご愛猫の最後が幸せであるようにお祈りしています。

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