獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200304-20

マルチレス
投稿日 2003年4月4日(金)16時03分 プロキオン

4月3日の hanaさんへ
残念ながら、本人を拝見しないと、程度いうか正確な情況が分かりません。気
になるようでしたら、お近くの動物病院へ足を運ばれることをお勧めします。

4月3日の なおさんへ
「8」というのがクレアチニンに数値としたなら、かなり高いと思います。一
般状態がこの数値程悪くないのは、おそらく腎不全がゆっくりと進行したので
あって、猫の体がそれに慣れてしまったためのように想像します。

主治医の先生は、16歳という猫の年令を考慮されてのことばだと思います。
私は末期の慢性腎不全なのではないかと想像していますが、この場合治癒とい
うのは、「腎臓移植」しかありません。他の方法はいずれも進行を遅らせると
いう処置になると思います。
したがって、とり得る選択肢というのは、猫本人ではなく、飼い主であるなお
さんが納得できるものということになります。
一日でも長くというのであれば、入院させて点滴による状況改善を図るのが良
いですし、自ら看護したいのであれば、在宅にて面倒をみてあげれば良いと考
えます。
療法食は従来は、腎不全にはタンパク質は制限するものとされてきましたが、
猫においては、やはりある程度のタンパク質は必要です。極端に制限してしま
うと体が維持できません。また、それに配慮してある療法食といえども、食べ
てくれなくてはどんなに良いものであっても意味をなしません。
それゆえ、実施可能なこと、納得できるものということになるのです。

セラピー療法とういうのは、もしかしてホリスティックなものを指しておっし
ゃられているのでしょうか?
(セラピーという言葉自体は「療法」という意味になってしまいます)
ホリスティック療法の場合は、特別な期待は抱かない方がよろしいかと考えま
す。なおさん御自身がやってみたいというのであれば、反対はしませんが。

4月4日の アップルさんへ
ワクチンにつきましては、フロントページのフレーム内にある「動物よくある
相談」を御覧下さい。
こちらの掲示板からも、「定番回答集」の方からみることができると思います。

狂犬病のワクチンと混合ワクチンの同時接種については、本来別々のワクチン
であり、同時に接種することは想定されておりません。
混合ワクチンについては生ワクチンが主体なので、これを接種後、3週間くら
いの間隔をあけて、狂犬病のワクチンを接種することが望ましいとされていま
す。
狂犬病ワクチンは、不活化ワクチンなので、こちらを先に接種した場合は、接
種後1週間の間隔で、混合ワクチンを接種して良いとされています。

ただ、同時接種といえども重篤な障害の発生も耳にしておりませんので、なぜ
別々が望ましいのか、そしてそれと 飼い主さんが意図する同時接種のメリッ
トと比較して、判断されると良いでしょう。(飼い主さん責任という形になり
ますが)

4月4日の みさきさんへ
去勢の場合、術語の性格の変化というのを私は認識していません。なんとなれ
ば、犬がおとなの雄として優位に立とうとするのを抑制する効果も期待されて
いるからです。
つまり、子犬の頃の性格でいてくれること期待する側面もあるからです。

みさきさんがおっしゃりたいのは、手術の痛みによる人間不信ということなの
だと思いますが、こちらはその子の本質的な性格と飼育経過次第と言えます。
手術そのものの痛みは差程問題とはならないと考えますが、それでも痛みのシ
グナルは脳へ送られているものです。組織の侵襲が大きい手術の場合は、全身
麻酔下でも、局所麻酔を併用することがあります。これは、脳へ痛みのシグナ
ルを感知させないためでもあります。
もっとも、去勢手術であれば、このような局所麻酔の併用をする獣医師はあま
りいないと考えます。私の認識では、去勢手術の痛みのレベルは、そういうレ
ベルにあるということになります。


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