意見交換掲示板過去発言No.0000-200306-227
フィラリア手術 |
投稿日 2003年6月27日(金)00時34分 Big 1
心電図、エコー検査なども含めて、十分に診察したうえで、フィラ リア成虫をそのままにしておくことのリスクと、手術のリスクを比 べた上でないと、個別の事例については言及できないので、以下の コメントはあくまでも一般論であることを理解したうえでお読み下 さい。 私は、フィラリア寄生が重度で心臓に負担があれば、手術でフィラ リア成虫を取り除くのが最善の道だと考えています。 肺動脈内のフィラリア成虫により循環不全がすでに生じており、そ れを取り除くことで負担を軽減できる可能性が大きい場合には手術 をするのとしないのとでは、予後に大きな差があります。 >完全に除去できないのではないかいう事、 たしかに完全に除去できるとは限りませんが、心臓の負担は大きく 軽減されます。手術後に心不全の治療薬の投薬量が大幅に減らせる 症例が多いのです。(なかには全く必要なくなった症例もいます) >犬の体に多大な負担がかかると むしろ、フィラリア成虫を残したままの方が負担は大きいと考える べきかもしれません。 >手術により命を落としてしまったという経験者も回りにいます それは急性フィラリア症(VCS)の手術だったのではないですか? VCS状態になってからするのと、そうでない状態でするのとでは、 手術の危険度は大きく異なります。私は勤務医時代から数百例以上 のフィラリア釣りだし手術に立ち会ったり、術者をしてきましたが、 死亡例は、VCSですでに危険な状態になっていて、そのままでも 死亡は時間の問題であった犬だけです。(そのような犬であっても、 手術直接死例は3例ほどしか知りません) 麻酔に耐えられる犬であれば、成功率の極めて高い手術であると思 います。(十分に経験を積んだ術者であることが条件ですが) うちでは、今年もすでに10例のフィラリア釣りだし手術をおこな いました。うち3例はかなり状態の悪いVCS状態の患犬でしたが、 みな元気になっています。 とりあえず、手術を勧める病院の獣医師に、術者の手術経験数(成功 率)などを、率直に尋ねてみてはどうでしょうか。そのうえでね考え てもいいように思います。実力のある獣医師であれば、怒ることなく 答えてくれるものと思います。 注射による駆除に関しては、私は否定的です。手術適応になるような 大量寄生の場合に、注射による駆除をおこなうと肺塞栓症を起こす危 険があります。その危険が無い程度寄生であれば、むりに駆除しなく てもいいようにおもえるからです。 |
|
|
獣医師広報板は、町の犬猫病院の獣医師(主宰者)が「獣医師に広報する」「獣医師が広報する」 ことを主たる目的として1997年に開設したウェブサイトです。(履歴) サポーターや広告主の方々から資金応援を受け(決算報告)、趣旨に賛同する人たちがボランティア スタッフとなって運営に参加し(スタッフ名簿)、動物に関わる皆さんに利用され(ページビュー統計)、 多くの人々に支えられています。 獣医師広報板へのリンク・サポーター募集・ボランティアスタッフ募集・プライバシーポリシー 獣医師広報板の最新更新情報をTwitterでお知らせしております。 @mukumuku_vetsさんをフォロー
Copyright(C) 1997-2024 獣医師広報板(R) ALL Rights Reserved |