獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200306-282

6月29日のブランシェさんへ
投稿日 2003年6月30日(月)16時03分 プロキオン

>ということは、視診と触診でかなり判断がつくということですね。

触診で腹腔内に異物としての触感が得られれば、想定すべき疾患の範疇に入る
ということになります。ただし、それが診断そのものではありません。
最初に申しましたように ひじょうに幅の拾いものが腸閉塞であって、個々の
情況に応じて具体的な疾病が別にあります。
1つの事象が腸閉塞の全てを表すのでも無く、それで事足りるわけでもありま
せん。


>"機能亢進している部位と機能低下している部位が同時に混在して存在する"と
いうような状態は かなり特異な状態かと思うのですが、何が原因で引き起こさ
れるのでしょうか?腸捻転は、重篤な病気になるのでしょうか?

原因が一言で簡単に説明できるのであれば、予防策というのも考えられるので
すが。
ただ、子犬等においては思わぬ行動、思わぬ展開がありますので、飼育者とし
ては、知っておいた方が良いでしょう。
腸捻転は、重篤な病気です。


>それほどの痛みを我慢できるものなのでしょうか?動物がどうして我慢するのか
分からないのですが...

これは、質問の意味が理解できません。
動物にとっては、自分で薬を捜してきたり、鎖やリードを外して自ら病院へ出かけ
るということはできませんので、飼い主さんが気が付かない限り、痛みや苦痛に
耐えるしかないのではないでしょうか?

また、元来動物は自分が弱っていることを隠したがる習性があると思います。
交通事故で腹壁にヘルニアが生じた猫がいましたが、この猫は痛みが治まるま
で、どこかに隠れていて、その後前足だけで近所の家まで這って移動してきま
した。お腹に穴があいて皮膚の直下に腸が飛び出していても、後ろ足が骨折し
ていても痛みに耐えて隠れていたということのようです。動物であれば、そう
いう話は奇異に感じません。
人間だって、私の高校時代の同級生の女の子は、腸捻転にかかっていても一言
も言わずに机に伏して我慢していましたよ。彼女はこのために1年留年するこ
とになりました。

>この状態を見過ごさない為には、日頃の排便の状態をよく観察しておかねば
ならないということですね。

いや、これは難しいと思います。できれば、観察はよろしくお願いしたいので
すが、慢性化して発症するものの場合は、事前に認識するのはかなり困難だと
思います。

>閉塞(もしくは狭窄)状態が長引くとその部位に組織的な変化が
見られるのでしょうか?

完全閉塞であれば、組織学的な変化を確認している余地はないでしょうね。慢
性例であれば、腸粘膜に変化がある云々は問題にならないです。
なんとなれば、私達は臨床家であって、研究職ではありません。まず、治療が
優先であって、閉塞状態の改善がなされなくてはなりません。腸切除でも実施
していれば、検体を検査機関にまわすことも可能ですが、そうで無い場合の病
理組織学的な検査は実施されないのが普通ではないでしょうか。

>通過できない状態にまで進行してから、バリウム検査を実施した場合、
バリウムが詰まって排出されないことになりますが、この場合 どのように
バリウムを除去するのでしょうか?
口腔からのチューブを入れて吸引して除去するのでしょうか?

これは、誤懸念には及びません。閉塞状態を解除するわけですから、体内から
出て行きます。閉塞が解除できないと言う場合は、転機が限られてきますので
バリウムの心配をしているどころではないです。

>そもそも、閉塞が疑われている場合に、バリウム検査を実施することの
危険性についてはどのように考えられているのでしょうか?

ブランシェさんは、バリウム検査がお嫌いですか? 繰り返しになりますが、
どこがどのようになっている情況を知るために実施するわけですから、その目
的と必要性は御理解ください。
手探りで治療するよりは、目で見えるものがある方がずっと良いのですよ。海
図も持たずに港を出て行こうとする船の方が、よっぽど危ないと思いませんか


>腸閉塞が明確になった場合、どのような治療手段が採用されるのでしょうか?

これも最初に申し上げたように情況状態に応じて一様ではありません。

そもそも何度も申し上げているように消化管の閉塞という一語をもって、語る
ことに無理があります。さまざまな疾病名を私も敢て挙げておりますが、原因
や状態によって各々別の疾病名が存在しています。治療法だっていろいろです。

私が一連のやりとりを通して感じたのですが、ブランシェさんはどうもひと括
りの疾病として捉えようとしているように思います。そうすれば、当然、話の
つじつまがあわない点は出ざるを得ないと思います。
異物を飲み込んでしまった例と消化管そのものが異物と化した例では、発症機
転からして異なります。食事の通過障害という点のみが共通であって、病態は
異なります。通過障害という共通のであるはずの概念をとっても、違いがある
ことを申し上げてきました。そういう点を私は説明してきたつもりなのですが
御理解いただけないと、また最初に戻ってしまいます。

そもそも、最初の質問をされてきたのはブランシェさんではなかったはずです
が、ブランシェさんが個人的に「腸閉塞」に興味をもっていたということなの
でしょうか?
しかし、実際のところ、私のレスを引用しての質問が続いていますので、質問
の意図を判じかねています。
言葉を代えて言いますと、指導碁や将棋のように特定の情況下でのやりとりに
誘導されているような雰囲気を感じるのです。私の考え過ぎでしょうか?

◆獣医師広報板サポーター◆
獣医師広報板は多くのサポーターによって支えられています。
以下のバナーはサポーターの皆さんのもので、口数に応じてランダムに表示されています。

サポーター:新日本カレンダー株式会社ペピイ事業部様のリンクバナー

サポーター:ペットコミュニケーションズ株式会社様のリンクバナー

サポーター:ペット用品通販Gズ\ィエ.COM有のリンクグオー

サポーター:日本ベェツ・グループ 三鷹獣医科グループ&新座獣医科グループ 小宮山典寛様のリンクバナー

あなたも獣医師広報板のサポーターになりませんか。
詳しくはサポーター募集をご覧ください。

◆獣医師広報板メニュー
獣医師広報板は、町の犬猫病院の獣医師(主宰者)が「獣医師に広報する」「獣医師が広報する」
ことを主たる目的として1997年に開設したウェブサイトです。(履歴)
サポーター広告主の方々から資金応援を受け(決算報告)、趣旨に賛同する人たちがボランティア
スタッフとなって運営に参加し(スタッフ名簿)、動物に関わる皆さんに利用され(ページビュー統計)
多くの人々に支えられています。

獣医師広報板へのリンクサポーター募集ボランティアスタッフ募集プライバシーポリシー

獣医師広報板の最新更新情報をTwitterでお知らせしております。

Copyright(C) 1997-2024 獣医師広報板(R) ALL Rights Reserved
許可なく転載を禁じます。
「獣医師広報板」は商標登録(4476083号)されています。