獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200306-46

あなたは、なぜ獣医師になりたいのか
投稿日 2003年6月8日(日)22時48分 Big 1

みみさんの6月8日付けの投稿を読んで、小学生か中学生ぐらいの子が投稿したの
だと思いましたが、過去ログをみたら24歳の方だったのですね。
では、最初におたずねします。あなたは、なぜ獣医師になりたいのですか。

もし「動物のために働きたい」「動物を救いたい」というのがお答えなら、獣医師
なんかにならずに、起業家になってビル・ゲイツのように莫大な資産を持つことを
真剣に考えてください。そうすれば膨大な資金にものを言わせて、動物のためのサ
ンクチュアリを作ることができるかもしれません。あるいは政治家になって、自然
保護や動物愛護運動に取り組むというのも一手かもしれません。

誤解されている方が多いのですが、獣医学という学問、獣医師という資格は、動物
のためにではなく、人のためにあるものなのです。獣医学と獣医師が関わる職域の
大半は、人の健康を守るための仕事であり、人のために動物を利用する仕事なので
す。(その仕事の中において、無益な殺生や動物虐待を防止するのも獣医師ですけど)

医師が直接的に人の健康を守るとすれば、獣医師は間接的に人の健康を守るのが本
来の使命なのです。これは小動物臨床に携わる(すなわち街の動物病院の)獣医師も
同じです。伴侶である動物のケア、ズーノーシスコントロールなどを通して、飼い
主さん達の心身の健康に貢献していると考えられるからです。

ですから、医学教育や研究に動物が使われるのと同様に、獣医学教育や研究に動物
が使われてきたことになんの矛盾も無いのです。逆に言えば、獣医学分野で動物を
使っているなら、医学分野で人を使えという結論にはならないのです。

さて、動物実験の是非については、過去に何度も書いてきたので、ここではあえて
触れません。しかし、私は、自分の大事な患者に、最低限の毒性試験もされていな
いような薬を投薬する気にはなりません。

ところで、あなたは「何故、人を殺してはいけない」に本気で答えを必要としてい
ますか?もしそうであるなら、獣医師を志す前に、お近くの僧堂や教会に行かれた
方がいいのかもしれません。

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