獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200309-262

ロンドンよりさんへ
投稿日 2003年9月25日(木)15時29分 プロキオン

9月25日のロンドンよりさんへ
頭上に頂く神様の違いからか、欧米では治癒不可能な疾病において、薬剤によ
るコントロールが効かなくなると、安楽死が選択される傾向があります。
治癒の望みがないものをこれ以上生かしておくことが、患者を苦しめることに
つながるという理屈です。
このあたりの事情は、宗教感や生命感の相違なので、幾ら話しても容易には理
解しあえないと思います。

私も へっぽこ獣医さんやパールちゃんと同様に考えます。とくにへっぽこ獣
医さんがおっしゃられているように検査の数値はやはり芳しからぬ数値と考え
ます。
しかし、やはり同様になんでこんな数値で餌を食べることができるのか不思議
な症例には、まま遭遇します。餌を食べる以上は患者本人には生きたいという
意志があるのではないでしょうか。
慢性の腎不全であろうと、末期であろうと、治療に反応して食事がとれるので
あれば、治療は無駄とはいえないでしょう。むしろ、残された時間が短ければ
短い程、「治療するという行為」に込められた意味は大きいと考えます。
また、まったく意識が混濁してしまった状態までいけば、飼い主としても、で
きるだけのことをしてあげることができたと納得できるのではないでしょうか。
これは、飼い主の自己満足でも我がままでもないと思います。
患者本人が「思いきり」がつくまで、飼い主がつきあうことができたというこ
とになるのだと思います。

居住先がロンドンとういうことであれば、飼い主の気持ちがいささか通じにく
いかもしれませんが、彼(彼女)はまだ生きる意志を示しているので治療を継
続してくれという論法をお勧めします。
安楽死を否定するというお話ですと、相手も聞いてくれないかもしれませんの
で、まだその時期ではないという主旨のお話をすると良いと思うのです。実際
どれだけ死を先延ばしにできるかは分かりませんが、いつか死が訪れるのは、
誰もが承知していても、それは少しでも先であるのにこしたことはありません。

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