獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200309-271

安楽死について ありがとうございました
投稿日 2003年9月26日(金)21時15分 ロンドンより

へっぽこ獣医師様、パールちゃん様、プロキオン様、Dr.MJ様、早速の
御意見をどうもありがとうございました。

皆さんの書き込みを読ませて頂いたり、その後友人と話をしたりして、ああやっぱりあの時の私の対処は間違ってなかったんだと心から安心した次第です。

私も日本にいた時に老犬を飼っていましたが、一度も安楽死を考える事なく最期の時を迎えました。それが当たり前だと思っていたので、安楽死という事自体、真剣に考えたこともなかったとも言えます。イギリスに住んで丸8年経ち、こちらでは安楽死が当たり前だという事実を知っても、動物の命を人間の手で過剰にコントロールするという事に関して、ずっと違和感を感じていました。

今回私が安楽死を勧められて、絶対にしたくないと言えないのは、自分自身が不治の病に倒れた肉親を2人看取ったという経験があるからです。

延命治療というのは、患者だけでなく、看護する家族に対しても大変な苦悩があります。治る事のない最愛の人が苦しむ姿を目の当たりにした時、生きている時間を長くするのではなく、死に行く時間を無駄に長引かせているのではないかという疑問に苦しみました。医学が進歩した分、本来ならとっくに死を迎えるべき人が、苦しみながら生き存えているのではないのかと。時には出来る事ならこの苦痛から早く解放させてあげたいと願い、息を引き取った時には悲しい反面ほっとしたという気持ちを、母に対してさえ持ったのが事実です。

それでも2人共、最期迄食べようとしていたし、トイレも自分で立って行こうとしていました。食べれなくなって本当にすぐ亡くなったので、食べようとする行為は生きようとする証だと信じています。

イギリスはキリスト教に基づいた文化で、人間より下である動物は人間が管理するものであるという考え方が根底にあり、動物の命に責任を持つのは人間です。日本の場合の、人間も動物も植物も命はみんな一緒というのに比べ、それはシビアです。

あの日安楽死を勧められた時「大変な決断だから外に出て歩いて考えてみて下さい」と言われたのですが、そんな決断をそんな短い時間で決められるはずはありませんでした。点滴も何も処置はせず、そのまま家に連れ帰って最期の別れをしてから、翌日病院で安楽死というのが先生の考えていたベストの方法(おそらく殆どの飼い主がとった方法)であったろうと思います。

ですから、日本でうちと同じ状態の猫に対して行われる治療は、彼等にとっては残酷でしかなく、最悪の場合は治療を拒否される事も考えられるでしょう。

ただ一つ希望があるのが、もう一人見てもらっている獣医師の先生で、その方は代替療法をされており、その先生だと私達の当たり前にもっている死生観や倫理観が理解していただけるかも知れません。偶然来週の月曜日に予約をいれてあったので、退院したての猫には申し訳ないのですが診てもらって、文化の違うイギリスで最善を尽くせるよう努力します。

再び長くなってしまい申し訳ありません。本当に御意見ありがとうございました。また報告させて頂こうと思っております。

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