獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200311-130

ワクチンについて思うこと
投稿日 2003年11月13日(木)01時34分 わたらい

最近の書き込みで、ワクチンの追加接種時期に関する書き込みをよく目にするようになりましたが、正直な所「なぜ今頃になって?」という感をぬぐえません。
この種の話題が、獣医の業界で商業誌や各製薬メーカーを通じて話題になったのが手元に残っている資料で1998年〜2000年頃にかけて、もう、かなり前の話です。
そもそも、「3年に一度で良い・・」という話は、僕がこの業界に入った95年当時にはアメリカの方でそういう話があり、既に国内でも実行なさっている先生がいたハズです。

この話題は端的に言って「保険の使い方(入り方)」の話であると思います。
諸々の保険の加入者側(飼い主さん)と保険会社側(獣医師)では、多少の「言うこと」「考えること」に違いが出るのは仕方が無い事なのでしょうね?

実際、僕的には毎年接種も3年毎もどちらでも構わないのです。
その方法を選んだ飼い主さん自身が、ご自身の「選択」と「責任」によって「決定」した事柄であるならば、です。

僕の知るある動物病院では、一部の病気について毎年抗体検査を行い、その都度今年は(抗体があれば)5種、(無ければ)7種というような使い分けをなさっているそうです。
理論的には、全くその通りなお話で、無理のないワクチン接種だと思います。

コレなど、僕に言わせれば・・ですが、ほとんどの患者さんにとってのワクチン接種は、そのとき痛いだけで発熱等の異常らしい異常も出ずに終わります。
抗体検査を真面目に行っていくという事は、おそらく年に1回以上の回数で、採血の際に痛い思いをさせ続けることだと思います。
一部の患者さんにとって学術的で堅実なワクチン接種である一方で、大勢の患者さんにとっては「痛い」事をされる機会が増えるだけで終わる様な気がします。
そう、考えます。

僕の病院は、仕事の煩雑さや動物の苦痛、ワクチンの料金(かなり低料金の病院なので)などの兼ね合いから、メーカーの推奨する所の毎年接種を実行しています。
全員という事はありませんが、時々「3年くらいは効いている事がある・・」という話を飼い主さんにする事がありますが、結局、毎年マメにワクチンを受ける飼い主さんか、せいぜい初年度ワクチンを打ったら「それっきり」という飼い主さんのどちらかに別れるだけのようで、抗体検査については何度か質問されたことがあった程度で実際にそういう方法を依頼されたことはありません。

でもコレは「どちらが良い」という話ではなく「保険の入り方」に関する個々人の好みの話であるように思います。
アメリカの方でも、(同じ病気のワクチンは)3年に一度にという事になりましたが、毎年病院に行って、その年ごと別の病気についてのワクチンを接種する方法などが薦められているようです。
3年間病院に全く行かないでよい・・・という話ではないようですし、健康診断もしないで3年毎の来院では良くないとの意見も多いようです。

とりとめが無くなってきましたが「ワクチンは保険」というのが僕の考えです。
あくまで加入者であるところの飼い主さんが「選んで」「決めて」入っていただくモノですね。

強制的に「やらせている」とかいう性質のモノではありません。
「(保険に)加入しない」のもまた自由だと思います。


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