意見交換掲示板過去発言No.0000-200312-206
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投稿日 2003年12月26日(金)11時39分 プロキオン
12月25日の まちさんへ 尿道や膣における憩室ではなく、あくまでも膀胱ということであれば、私はあ まり深刻には考えません。 膀胱粘膜は、そもそも尿の貯留に対応すべく発生していますので、キチンと粘 膜に裏打ちされているのであれば、尿による障害というのは避けられているは ずなのです。さらに、大事なことは尿石症が膀胱炎を起こすのではなく、膀胱 炎によって壊死剥離した粘膜上皮を核として尿石の結晶が形成されるのです。 また、憩室の有無にかかわりなく膀胱炎をくり返す子は大勢います。むしろ、 ほとんどの子は程度の差はありますが、慢性化する傾向があると思います。 臨床的な症状がおさまったことが治癒ではなく、その後も長期に渡って抗生物 質の服用が必要なのが本当のところなのですが、実際にはそこまで徹底してい る例の方が少ないように感じます。 ただ、膀胱にできている憩室が粘膜を欠くものであったり、なんらかの瘢痕性 のものであったり、神経性に一部が弛緩しいて形成されていたりするものとか、 大きさや位置によっては、私の話はまったく変わってきます。 本来は患者を診察して、レントゲンや膀胱造影をしてから、判断するべきこと がらです。あるかないかで言えば、ない方がよいのに決まってます。 12月25日の まつしたさんへ こちらの掲示板にもすでに何回も書いているのですが、毛球症は原因ではなく 結果です。毛球ができたから消化管機能が低下したのではなく、消化管機能が 低下したから毛球ができてしまうのです。 したがって、消化管機能の回復こそが一番必要なことと言えます。このことは とても大切な点と言えます。手術による毛球の除去は消化管の負担を軽減する という意味合いになりますので、患者本人の生体レベルが低下している場合に は逆に手術侵襲による負担が大きくなり過ぎることもあります。 したがって、その点を充分考慮されることが必要です。手術は体力のある早い うちの方が望ましいのですが、それで全てが解決するわけでもないということ になります。 また、毛球を溶かす薬というのはありません。毛球を溶かすくらいの作用が強 ければ消化管も溶かされてしまいます。一般に言われているのは、被毛をかた まらず排出しやすくするための油性の潤滑剤であったり、タンパク質を消化し やすくするための消化酵素のことです。つまり、それは御使用中のパパイヤボ ールがそれにあたると思います。 12月25日の 礒田哲夫さんへ 今回の顎に力がはいらないという症状とバベシアとの間に因果関係があるとお 考えでしょうか? バベシアは住血原虫で、これの駆虫薬というのもかなり強い薬になるはずです。 嘔吐や下痢等の副作用もありますので、こちらの治療を行っているのであれば 嘔吐が併発することは予想されます。 また、バベシア自体が赤血球を破壊しますので、貧血だけでなく黄疸等の肝機 能障害を起こし得ます。それだけでなく、重症のものであれば、肝性脳症によ る神経症状の発現すら想定可能と言えます。 ただ、それが「顎に力の入らない」ということの原因なりえるのかと問われれ ば答える事ができる者はいないと考えます。 これらのことは、すべて程度と経過の如何を検討しなくてはなりません。患者 とカルテを手にしている主治医が分からないと言えば、第三者の者はなお分か ろうはずはありません。 投稿された礒田さんは、一連のものと考えて「バベシア」に言及したのですか、 主治医の先生は、その点についてどのように判断されているのか、伺っていま すか? 私には、そもそも一連のできごとと考えて良いのか、それとも別個のこととし て考えるべきかなのかの時点で判断できませんが。 12月26日の ぱっちさんへ ブロイラーには腹水症が一時多発した時期がありまして、各地の養鶏試験場で 原因究明にあけくれた時期があります。ただ、その原因は1つとは限らないと いうことのようでした。 で、私がなんでブロイラーをもちだしたかというと、年齢というか、日齢なん です。ブロイラーはせいぜい2ヶ月の寿命しかありませんが、それでも腹水症 が発生します。年齢が原因ではなかろうということです。 それでも、飼い鳥であれば、老齢個体に多く見られるというのも事実です。と くにセキセイということであれば、脂肪の蓄積や腹壁の伸展によって内臓も下 垂しやすくなっていますし、腹水の貯留を想像させる形態も見られます。 ここで重要なのは、真の腹水であるか否かです。 鳥は、気嚢の膨張と収縮によって換気をしていますので、大量に腹水が存在し た場合、すでに呼吸困難な状態にあるということです。充分な酸素化が実施さ れていないと呼吸不全からの心臓停止に直結しかねません。 また、窒素代謝産物を尿酸という形で排泄していますので、犬や猫のように利 尿剤を用いて腹水の減少を図るという処置があまり期待できません。 真の腹水症であるのなら、私は個人的には安静に努めることをお勧めします。 |
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