意見交換掲示板過去発言No.0000-200401-125
うのはなさん |
投稿日 2004年1月17日(土)22時15分 はたの
獣医師ではありませんが、あまりにレスがつかないままなので・・・。 おそらく思考のどんづまりにはまっておられるように拝察します。 別の発想、知らなかった事実を探ってごらんになることをお勧めします。 献体。残念ながら、そんなに理想的に運営されているわけではありせん。献体のソースをお調べになってはいかがでしょう。人医である義弟は、献体だけはするな、と申します。にもかかわらず私は献体するつもりですけれどね。厳粛であるべき場でついふざけたくなるのもヒトの性質と考えていますから。 獣医師。 獣医師は動物のために動物を治療するのが本務ではありません。人間のために動物を医学的に管理するのが本務です。そこには安楽死や殺処分が主要な仕事として含まれます。個人的にそれを嫌う獣医もいるでしょうが、職能人としては好ましからざることです。素人がやるよりも安全に効率的に動物にも苦痛すくなく殺す、というのは獣医師の本分のひとつなんです。そのために社会は、法律家・聖職者・軍人/警察官/消防士などと並ぶような、これら以外のなにかの専門家とは異なる特別な権限を獣医師を含む医師に与えています。 ですから、その教育課程で、殺処分を必須とすることは、単なる技術・知識習得のためという以上の意義があります。覚悟の足りない候補者をふるい落とすという意味が。 別の切り口。 〈どうせ殺処分される個体〉を教材にしている限り、獣医になるカリキュラムに事後殺処分することになる解剖を組み込んでも、殺処分される総数は減りません。 この点で、保健所等からの教材・実験材料としての払い下げに反対する運動は一長一短です。あまり意味のない実験を抑制する一方、必須な実験・実習に払い下げ個体が使えなくなると〈そのために繁殖された個体〉が使われるようになり、殺処分の総数を増やしますから。 イヌに限らず家畜・家禽は、ヒトに生殖を管理されることによって繁栄を得ています。物事、いいことばかりとはいきませんで、その代償として、ヒトの都合によって殺される、のは必然です。自然淘汰のかわりに。 自然淘汰がそうであるのと同様(たとえば卵から孵ったばかりの魚がくわれるのをイメージしてください)、人為淘汰も、淘汰される個体が劣っているからとか倫理的に悪を為したからではなく、単に運が悪かったから、によって死をもたらすものです。 生命とはそういうものなんですね。 苦痛という切り口。 解剖実習後に殺処分されるイヌは、少なくとも麻酔下で逝きます。世界にありふれている死の中では苦痛の少ないほうでしょう。 技術・知識習得のため・・・限定でも、解剖実習をなくした場合に社会コストが増大しないか、という疑問が残ります。この場合のコストには単なるお金だけでなく、畜主がヤブ医者に当たる確率やらも含まれます。 解剖実習ナシでも獣医師の育成は不可能ではないでしょう。が、その代わりに、〈社会が期待する腕と見識を持った〉獣医師を育成するのにより時間がかかったりしないのか? ということです。一人前になるまでに時間がかかるほど、志したいが経済的に無理というひとも増えますし、それを助けようとすればコストがかかります。そいつを誰がどう負担するか? はないがしろにできません。 生きた内臓が死の瞬間にどう変わるかは、生と死の本質の1断面ですから、医の専門家の卵にはぜひ実見してほしいものだと思っています。それを補うのは安くないでしょう。 うのはなさん、(解剖実習ナシに一人前になりうる)獣医師育成カリキュラムのために、幾らなら寄付なさいます? 私だって、無限の資金力があれば、生体とかわらない人工の解剖教材を開発させたいですし、もっといえば、世界中の不幸なイヌを引き取りたいと思います。 が、それは無理なこと。 変えようと思わなければ世界は変わりませんから、現状はおかしい、変えようと思うのは気高い行為ですが、相手がヒトの社会の制度ならともかく、40億年ほど続いている生命というシステムですから、どうにもならんでしょう。 あとはうのはなさんが、どういった説明で受容するか、という選択になりましょう。 |
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