獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200401-67

reしっぽの保存
投稿日 2004年1月10日(土)13時17分 はたの

どういう「葬儀」をするかはご自由でしょう。死んでいるからには苦痛は感じず、嗜虐的な動機でもないのですから残酷かなどとお悩みにならなくてもよろしいかと。

 しっぽなら保存可能です。
 一番簡単なのは、冷凍。何年か前の冬に拙宅でネコが死んだ時にも、庭に穴が惚れるようになるまで(当方寒地なので)数ケ月冷凍してました。気にするかどうかは個々人の感覚かと。ヒトの食べ物も生物の死体ですから変わらないといえばそんなものです。
 そのままでもいいですし、ある程度おいて乾燥したら常温でも。
 もうひと手間かけるのなら、いいかげん乾いたところで、低温のオーブン(お皿を温めるときぐらい、100度以下)で数十分処理。アルミホイルにゆるく包んで。

 これで、湿らせなければ腐敗はおおむね防げます。ヨーロッパにはノウサギの前足をお守りにする風習がありますが、あれもこういった処理程度のものです。
 とはいうものの、梅雨時には仕舞うことを推奨。カビ、腐敗のおそれあり。冷凍庫・冷蔵庫、ないしは防虫剤と湿気とりを入れて密閉。
 また、カツオブシムシ類による食害もこれだけでは防げません。

 塩、ホルマリンなどで処理すればもう少し安定しますが、手間がかかってきます。
 その中で一番簡単なのは、ホルマリンに浸けて自然乾燥、または、冷凍庫・オーブンで乾燥させたあと、ホルマリンに浸けこんで、もう一度乾燥させることでしょうか。
 もっと丁寧にやるのならバラして処理。
 靴下を脱ぐように剥皮します。この時、身と同サイズの型が作れるように各部の太さなど計測しておきます。
 身はかるく茹でてまず手で除肉、過酸化水素水で残りを溶かし、骨がバラけますから順番を間違えないように糸など通しておいて、骨をアルコールで脱脂、場合によっては塩素(漂白剤でOK)で漂白。糸が処理で劣化しますから、取り替えるなり、ワイヤーにするなり。肉のかわりに綿を巻いておきます。
 皮は裏返して、筋など丁寧にとり、塩を刷り込むか、ホルマリンを何度も塗りこむか、いっそ浸けるか。濡れているまま骨に被せてもいいのですが、乾燥時に縮むと変形の恐れ大。型に被せて乾燥させ、再度、扱いやすい程度にかすかに湿らせてから骨に被せるほうがよいかもしれません。このあたりは、尻尾は当初は冷凍しておいて、しっぽ以外の部分の皮で事前にテストしてみれば感覚が掴めるでしょう。
 最後に端を縫いとめるなり、何か金具をつけるなり。
 ・・・がここまでやるのなら、尻尾だけ本職に剥製にしてもらうほうが失敗少なく賢明かと思います。素人のホルマリン処理だと割りといつまでも臭いますが、それがないのも吉。
 もっとも、こうした作業をすることそれ自体が、儀式として心を落ち着けることもありますから、あえてご自分で(どこまでかは別として)なさってもいいかもしれません。過酸化水素水、ホルマリン(要印鑑のはず)などは、薬局で入手可です。
 剥製作り、標本作りの書籍などいろいろ出ています。とりあえずは冷凍しておいて、ご自身でできそうか調べ、また剥製代金を調べるようになさってはいかがでしょうか。

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