獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200402-167

歯石
投稿日 2004年2月19日(木)22時38分 はたの

獣医師ではありませんが。また横レス御免。

 「歯垢除去=歯石予防」と「歯石除去」は区別して考えませんと。
 歯垢はガーゼ、歯ブラシ等で取れます。歯石予防ドライフードでも取れます。
 歯石は、スケーラーなどで物理的に取る必要があります。

 また、イヌの歯はエナメル質が薄いので、スケーラー使用にはヒト以上の細心さがいります。

 歯垢取り。
 ガーゼを巻いた指、歯ブラシ(歯ミガキもあります、歯石予防ドライフード、などによります。通常、この段階では、全身麻酔による獣医師の処置は不要です。というのは、あまりに頻繁に麻酔をかけることになってしまいますから。

 歯石除去。
 獣医師による場合、麻酔をかけて・・・ということになります。
 そして、そうするのが一般的です。
 が、個人的にはその常識を疑っています。なにか柔らかいもの(ベッドとか)の上に横にならせて口を開けて、スケーラーで取る、も可能です。
 この際、エナメル質保護のために「歯垢まで取ろうとしない」「ゴリゴリこすらない」のが大切です。また、歯肉を切らないためには、「先端が滑っても歯肉にぶつからない」ように、スケーラーを「持っていない」ほうの手で可動範囲を制限する、「根元から歯先に」動かす、ある程度溜まって「加圧するとパキッと歯石が塊で剥がれる」ようになるまでは待つ(口内PHによりますが1年ぐらい)、といった心得もいります。
 それらが可能なら、病院で麻酔して処置してもらうより勘弁かつ安全ですし、それらができないのなら、病手陰に頼むのが良い、という比較の問題です。そこにすは当然、口の中を自由にまさぐれるか? という飼い主のイヌをコントロールするスキルも関わってきます。

 どのぐらい嫌がっているのか? どのぐらい嫌なことでも飼い主なら我慢させられるか?
 が問題でしょう。

 (自慢げになって申し訳ないが)ウチでなら、新たに迎えたイヌであっても1、2週間以内には口をこじ開けるとこまで持っていきます。嫌がるか? 嫌がります。でも、「おいで。そこに座って」で横倒しにして、「じっととして。ガマン!」と声かけつつ口をびろーんとめくって処置してしまいます。終わったら「よく我慢したねえ」とうんと誉めます。
 スケーラーを持つといやーな顔をするようになりますが、それでも呼べば、溜息混じりで来ます。
 よほどキツイ個体でない限り、ラブならなんとでもなろうかと。基本的にキツイ犬種ではないので。チベタンマスティフやらアナトリアンシープドッグとかいうなら私も悩むと思いますが、ラブならば。

 が、よく知っている獣医師とこの話題になった時に、「それはかなりトレーニングスキルがいるから、一般の飼い主に要求するのは難しい」とも聞きました。トレーニング上の超絶技巧ではないと感じるのですが、複数の獣医師がそういわれるのですから、傾向としてはそうなのでしょう。
 4歳ならそう深刻ではないでしょうから、数ケ月、いろいろやってみる猶予はあります。
 ダメなら病院で麻酔をかけてもらって、ということになりましょう。

 ただ、個人的には、歯石をほじれる程度のコントロールは、たとえばよそのイヌとケンカしているのを止めに入っても飼い主を噛まない、嫌がっていてもフロに入れる、などと通底するので、なるべく多いの飼い主に、最初っから諦めるのではなにく挑戦してほしいとも思います。むろん、イヌとの関係性が悪くなるのに無理しても自分でやらなくてはいけないというものではなくて、病院のお世話になるのも有効な選択肢のひとつではありますが。

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