獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200402-191

re歯石のとりかた
投稿日 2004年2月21日(土)21時54分 はたの

ござ〜る君さん。
 歯石をとる目的はなんでしょうか?
 いつもピカピカにしておくことではありません。50年、歯を保たせることでもありません。他が壊れて死ぬますから。
 十数年、なんとか保たせることです。歯が原因で寿命を縮めなければいいわけです。

 そのための方策として、
a 病院で麻酔して・・・

b 自分チでナントカして・・・
があります。
これは対立するものではなく、補完的です。ふだんは自分チでやって、溜まる程度を減らし、麻酔をかけなくちゃいけない頻度を減らす。取り切れないのが溜まったら、あるいは他の理由で麻酔をかける機会があったら病院で、というようにうまく使いわければいいわけです。

 自分チでやる場合も、メリットとデメリットを秤にかけて考えればいいのです。
 スケーラーをうんと嫌がるようなら、無理することはありません。爪でもOK。スケーラーを嫌がるのを無理してやることによってイヌとの関係性が悪くなるとか、暴れて口の中傷つけるとかといったリスクと、麻酔の頻度がちょっと高くなるというリスクの比較の問題なのですから。

 ただ、スケーラーでの歯の荘子せもできない程度しかイヌをコントロールできていないと、他の理由で他の部位に触れたい・・・といった時にも困難な可能性が高いので、望むらくは、そのぐらいのコントロールはできるようになっておくほうがよかろうなぁ、ということです。
 必ず自分チでやらなくてはいけないわけではないですが、かといって、麻酔しなくちゃ無理というほど難しいトレーニングもない、といったところと思えるからです。

 ガーゼ。
 歯肉からちょっと血が出るぐらいは、理想的な状態ではないにせよ、普通です。
 ただし、力を入れすぎているのではないか、要チェックです。
 ガーゼで取れるのは歯垢で歯石ではなく、歯垢はかるく触れるだけで取れます。

 この点、爪を使う時にもご注意を。
 イヌの歯の表面のエナメル質はヒトのそれ以上に薄いので、ゴリゴリ削るのはいけません。歯の付け根側から歯先に向かって、歯石に圧を加えて、「パカッ」と剥がすのです。つまりある程度厚く溜まってからでないとうまくありません。

 スケーラーのメリットは、歯周ポケットの中などの細かいところに届く、イヌがおとなしくヒトが使い慣れれば力加減と加圧の方向の自由度が高い、であり、デメリットは、イヌが嫌がることが多い、より硬いので力加減を間違えると歯茎を切ったり、歯の表面をいためやすい、といったことです。メリットを生かせる状況ならば使えばいいし、デメリットのほうが多そうならやめておくのが無難です。

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