獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200403-142

アキさんへ
投稿日 2004年3月20日(土)17時16分 投稿者 りんママ

ただの犬飼いです。
長文、失礼致します。

>将来子宮がんになる確率が下がると友人から聞いた物がきっかけなので…。

1度子供を産ませても、その後発情を続けていると中高年になっての発ガン性は変わりません。
むしろ、ホルモンに関係する乳腺腫瘍(約50%が悪性)などの発生については、1回目の発情が来る前(5〜6ヶ月齢まで)に不妊手術(子宮卵巣摘出)を行うことで、発生を0.05%に押さえることが出来、2回目発情までは8%、3回4回と発情を繰り返すことにより、産んでも産まなくても発生率は変わらないと聞いております。中高齢犬には、子宮蓄膿症も起こしやすいので不妊手術をしていない犬のケアは注意をしてあげる必要があります。
不妊手術後は、カロリーオーバーで太らせないことや、ホルモンバランスが崩れやすい犬種などもいますので。メリットデメリットを知る必要があると思います。

>うちの子も旦那犬も血統書付きなのですがそれでもまずいものなのでしょうか…?

自然界では、雌が生殖の決定権を持ち、良い系統の子孫を残そうとする本能です。
しかし、純血種犬の繁殖権限は人間が持っています。
これは、雌犬が雄犬を好まない状態であっても繁殖をさせられる事があると言うことです。

血統書が就いているから、健全で遺伝的に問題のない犬と言うことではないのですから、その点誤解をされませんように。
純血種を繁殖させると言うことは、繁殖の系統ラインを読みとり、その犬のスタンダードを守って行くことが大事なのだと思います。
犬種としての成り立ちはもとより、遺伝疾患の問題、毛色のミスカラーの問題、気質の問題など繁殖をすると言うことは様々な知識が必要なのです。

ただ、血統書の発行は、犬種登録団体に登録されている両親から生まれた子犬だけが登録することが出来ます。
血統書には、多くの場合3代祖までが記載されています。
ただ、血統も3代祖では全く関係が無いと思われるラインでも、5代祖まで遡ればラインブリードであることがわかる場合もあります。
その何代か前では親子姉弟などの近親婚もあります。
スタンダードの系統を守り確立する上で、インブリード、ラインブリードやアウトクロッシングが行われているのです。
繁殖に適している犬かどうかは、血統書では判りません。実際にその系統ラインの犬に遺伝的な疾患や気質などに問題のある犬がいないかを調べる必要があります。

流行犬種につきものの俄ブリーダが多くなり、スタンダードを無視した繁殖は過去の犬種で繰り返されてます。
ネットで検索して頂いても、ch.の称号が多く就いている血統の子にも、遺伝性疾患の問題が数多くヒットすることでご理解頂けると思います。
海外では、繁殖に適していない犬名(血統)を公開しているブリーダサイトもあります。
ですから、血統書では、繁殖に本当に適している犬かは判らないのです。
遺伝疾患の中には直ぐには出ずに、2才齢くらいまでに発症する病気もあります。
繁殖を希望される方には、遺伝の問題を含めて犬種のルーツも勉強をされ、自分が生み出した命が健全であるよう責任をもって頂きたいと心より願っております。

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