＞鳥の中には、インフルエンザがかかっても平気なものがいるとのことですが
　、これは間違いですか？渡りのコースについては知りませんでした。ウイル
　スは体外に出ると短期間で死んでしまうと聞いたので、鳥以外は運べないと
　思いました。また、ウイルスの型によっては弱毒のものが強毒になるって聞
　きました。

鳥の中には感染しても平気なものがいるというのは、ある一面では正しいので
すが、今回の場合は、意味が違っていて、弱毒株での感染であれば死なないと
いう意味に理解して下さい。
また、インフルエンザウイルスは飛沫感染が主体ですので、体外に出てもしば
らくの期間は生存しています。ウイルスによっては体外においても何ヶ月も生
存可能な種類のウイルスもありますので、これらに比較すればすぐに死んでし
まうという表現になります。ウイルスという生物は、その本体はさまよえる遺
伝子なのですから、増殖には他の細胞の力を借りなくてはなりませんが、生存
そのものについては、細胞生命体よりも維持エネルギーを必要としません。

早い話が、生きた細胞に感染しなくても衣服や靴、自動車のタイヤ等への付着
するだけで遠隔地へ運ばれ、そこで活動を始めることには支障ありません。

したがいまして、今回の京都府の防疫活動には私はいささか危惧しています。
発生農場における汚染物品の処理にあたる人数は、できる限り少数の方が望ま
しいのです。他の部署の人間や機動隊とか自衛隊とか他所から大勢の人間を投
入することは、それだけウイルスの拡散の危険度が増すのです。
それは当然承知しているはずだと思いますが、マスコミの目を意識して早急に
処理してしまいたいのでしょうね。
鶏舎内部の映像があったり、大臣の視察があったりしていますが、これらは防
疫活動の本質から外れています。現地へ出入りしている大勢の人間によって、
ウイルスは拡散していくと思われます。人間は感染発病しにくいので、ウイル
スの拡散危険性を自覚していないのでしょう。（治療薬もありますしね！）
もっとも、発生農場からの生産物がこれだけ広範囲に流通してしまっていては
、今さらの感もありますが。

弱毒株が強毒株への変異する可能性は、御指摘のとうりです。私がワクチンの
使用をするべきでないというのには、この点があります。
ウイルスの変異には、鶏であれば鶏の生体細胞における何代にも及ぶウイルス
の継代が必要です。野外にウイルスが残存してしまえば、これが何年何十年に
亘って、野鳥や個人飼育の鶏の間で継代されて強毒株に変異する可能性が残さ
れます。こういうウイルスが、次の流行の引き金となりますので、ともかくウ
イルスはもとよりウイルスに接触した可能性のある鶏も物品も残してはいけな
いのです。
ワクチンを接種された鶏は、トリインフルエンザウイルスに対する抗体を保有
するようになりますから、抗体検査による野外ウイルスに接触した可能性のあ
る鶏の摘発に支障をきたすようになるのです。
それゆえ、野外にウイルスを残さないという迅速な防疫活動を実施するには、
ワクチンの接種は障害となってしまうのです。

＞わからなかったのは、なぜ国が清浄であると断言できるのかということです
　。清浄であるという前提に基づいて行われる防疫措置やワクチンの問題点に
　ついては十分理解いたしました。

なぜ、日本が清浄国であると断言できるのかということですが、これには根拠
はございません。国は大正に遡るまで発生事例がないからとしていますが、私
自身は、この点についてまったく信用していません。
平成になってからの発生報告があるではないかと追求している立場におります。
今さら何を言い出すのかと思われるかもしれませんが、日本中の家保の職員が
知っていることです。何故、伏せられているのかは分かりませんが、私が渡り
鳥が感染源ではなかろうとする根拠の１つでもあります。

ただ、逆に今回の一連の発生が出るまで期間、防遏できていたことを考えると
初期にキチンと対応をとれば、それだけの効果はあると考えていますし、その
事例をもってとるべき対応としての「摘発淘汰」の有効性を主張しています。


＞汚染国と疑うこと自体が悪いことのようなので、もう質問するのはやめにし
　ます。国の対応を信じて、インフルエンザがおさまるのをじっと待とうと思
　います。

汚染国と疑うことは別に個人の自由ですので気にはしておりません。私自身も
完全な清浄国とは考えていないわけですしね。
とるべき対応がワクチンでは、禍根を残すことになるかもしれないと考えてい
るということです。つまり、本当の汚染国になっては困ると言っているわけな
のです。
もとより、心配性さんの質問は、農林水産省等に対して行わるべき内容なので
すが、おそらく回答は得られないでしょうし、なんらの説明もないと思われま
す。広報欄を御覧下さいというところではないでしょうか。
こちらの獣医師広報板は、個人のホームページですので、そこに集まる人間の
中にこういうことなんですよと説明してあげようという人間がいたというだけ
のことです。
私自身は、家畜防疫官でも家畜防疫員でもありませんので、養鶏場の鶏に直接
タッチする気はありません。私はトリインフルエンザに対する騒ぎが過熱して
これ以上各家庭で飼育されている鶏類や小鳥が捨てられたりするのが嫌なんで
す。ネットで不安を煽るような書き込みがあることに心傷めているのです。
それは、過去の一連のレスに目を通していただければ分かると思います。

　＃　不安を解消してもらうためのレスですから、心配性さんの記載内容をいち
　　　いち打ち消す形（あるいは否定する形）になってしまった点は御容赦願
　　　います。

実は、マスコミにもとりあげ方について、ちょっと抗議をしているのですが、
こちらは無視されつづけています。