獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200405-145

Re:犬の介護についてお聞きしたいのですが・・・
投稿日 2004年5月12日(水)15時31分 投稿者 パールちゃん

宇竜さんへ。
老いた犬のために仕事時間を変えてまで付き添っていることは、
そうしたいと願っていてもなかなかできることじゃないと思います。
本当に家族同然ですよね。
それは18年という時間の長さだけではなく、愛情の深さなのですね。
実際はとても大変なことでしょうが、残された時間はもう長くありません。
私としては最後の最後まで宇竜さんとご家族はがんばってほしい、そう思います。
そして、わんちゃんには、無理にがんばらなくていいよと言ってあげたいです。
残された時間、みんなにたくさん心配をかけてたくさん世話をかけて、
ありのままの姿で残された時間を使ってほしい。
それがみんなへの「ありがとう」になるはずですから。

睡眠薬が効かなくなってきたことについては、
強い薬にしたり量を増やしたりするのではなく、
成分の違う睡眠薬や軽い鎮静効果のある薬などの代替策はないのでしょうか。
犬をおとなしくさせるためではなく、ご家族が休息を取る時間を作るためのものとして、
改めて獣医さんに相談してみてはどうでしょう。
犬だけでなくご家族自身も眠るための薬を使うことを考えてもいいと思います。少しの間だけ。

グルグル歩き回るのは典型的なボケの症状ですね。
歩行補助車ではなく、おなかで吊って立った姿勢を保持してあげる装置を手作りすることができます。
犬の体重やもがいたときにかかる力に耐えられるような角材を犬のいる場所の上部に取り付けます。
室内犬なら臨時措置として部屋の両端に背の高い家具を2つ置き、
その間に角材を渡してしっかり固定する方法も可です。
その角材のグルグル回る中心あたりにホームセンターの日曜大工コーナーなどで売っている回転金具を取り付けます。
犬用リードについている金具でも代用できますから、
リード自体を角材に結び、もう1本リードを用意して連結してもOKてす。
犬の側は、犬用胴輪をつけ、おなかに当たる部分は痛くないようにタオルなどを厚めに当てます。そして、上から垂れているリードにつなぎます。
足で踏んばらなくても立っていられるように、グルグル歩くときには上から吊られて横倒しにならないように、
微妙な長さ調節が必要にはなりますが横倒しになってもがくことはなくなると思います。
お尻のあたりの床ずれをひどくしない役割もすると思います。
横倒しにならないようにしてあげるというのが主眼の装置です。
つないだ紐状の部分が犬の体にからまらないようにくれぐれも気をつけてください。
眠くなったときは装置をつけたままでも眠れるよう回転可能な半径の端にマットレスなどで防波堤のように布団を設けておくといいと思います。
でも、どんなサポートをしたとしても、必死で鳴いて呼ぶときは見てあげてくださいね。

大変ですね、わんちゃんも苦しいし、ご家族も疲れているし、
もう楽にさせてあげましょうと言うのは簡単なことです。
でも、そんな別れ方はしたくないと思うなら、その思いをしっかりもち続け、
やれることはすべてやってください。
できないことまで無理にしようとはしなくていいです。
でも、やれることはぜったいやってくださいね。
長い年月と深い愛情の締めくくりとして。

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