獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200406-11

先天性の奇形ってなんですか?
投稿日 2004年6月2日(水)16時20分 投稿者 プロキオン

6月1日の ひろりんさんへ

>獣医さんの診察を受け、レントゲンを撮った結果、腰椎の1番目と2番目が癒着して
>いて、そこから弧を描くように背骨が湾曲しているのが明らかに分かりました。先天
>性の奇形が原因でした。

先天性の奇形ってなんなのでしょうか?  そのように診断が下されていて、その診断
に間違いがなければ、それで、すでに完結していることになると私は考えますが。

子猫の骨に異常が見られるということであれば、おおまかに「遺伝性」の原因と、「上
皮正体の悪戯」を疑う事になりますが、遺伝性ということであれば、それは「交配」に
よって次世代への治療ということになります。個体については、対象とはなりません。
一方、上皮正体に起因するものであれば、これは後天的なものですから、治療対象とな
りえます。


日本猫に限らず、東南アジア系の猫には、たしかに椎骨の形成異常の遺伝子が存在しま
すし、尻尾がまがっているなどは、あたりまえに目にしますし、腰椎が1〜2個欠損し
ている個体も、かなり遭遇します。中には胸椎さえ欠損している個体もおります。
つまり、第一腰椎と第ニ腰椎が癒合している、先天的なものだと言われても、別に珍し
いとも感じないのです。「繁殖に使用しないでくださいね」となると思うのです。
# 雌は分娩時に難産になりやすいですし、分娩しない雄といえでも、この遺伝子を
  拡散させるべきではないので。

むろん、脊髄神経が椎骨から出て行くための孔が開いていないのですから、別の椎骨
の孔から出て行かなくてはならないので、その分の無理はかかります。
しかし、生存に影響する程のことは稀であり、その多くは、普通の日常生活を過ごし
ているはずです。
ですから、先天的な腰椎の癒合であるなら、その診断がついた時点で、すでに話しは
終了していると受け取られるのが普通なのではないでしょうか?

それとも、骨の曲がり方が酷くなるということで、現在進行性の骨の炎症があるという
意味にとればよいのでしょうか?
もし、そういう意味であれば、これは「先天性」には該当しないように思います。その
場合には、もう一度精査する必要があると思いますが、文中に本人は元気とありますの
で、おそらく、成長とともに目立つようになったということではないかなと考えていま
す。

サプリメントにつきましては、スコティッシュホールドの関節軟骨形成異常において、
投与されることがありますが、こちらは「現在進行形」の疾患ということになります。
病態が異なりますので、同一には考えられません。
むろん、こちらも遺伝によるものですから、治癒はありません。疼痛の緩和が対象とな
ります。

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