獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200406-121

Re:フィラリア予防について
投稿日 2004年6月10日(木)15時47分 投稿者 パールちゃん

レモンさんへ。

> ここで解らないのですが、薬は実際月間約20日は効いていとするならば
> この期間は蚊に刺されると感染すると思うのですがこれだと何の為の予防か解りません。

蚊に刺されてもいいんです。
蚊に刺されたあとの対策をするのがフィラリア予防薬なんです。
何日間効いているかというのは関係ないんです。ちょっとややこしいですよね。
犬の体にフィラリアの幼虫が入ることを前提にして、
じゃ、そのあとどうするかっていうのがフィラリア予防薬なんです。
つまり、かからせないための薬なのではなく、ひどくしないための薬です。
フィラリア予防薬と呼ぶよりも、ミクロ(子虫)フィラリア増加阻止薬またはフィラリア成虫化阻止薬と呼ぶほうが理解しやすいかもしれません。

> 初めての投与の場合ショック死する場合もあるので血液検査が必要とありました。

これは、すでに体内にミクロフィラリアがたくさんいたり成虫がいたりするのに、
それを知らずにフィラリアを駆虫すると(つまり予防薬を投薬すると)、
死んだ虫が血管に詰まってショック症状を起こすことを指しています。
ですので、それまで予防を怠っていた犬に血液検査もせず急に投薬するのはだめですよというわけです。

> 犬への副作用並びにコストを考えた場合、
> 何もせず年一回血液検査を行い必要に応じ治療した方がいいのではないのかなとも思います。

何もせずということは犬の体内にミクロフィラリアをうじゃうじゃ増やすことになります。
そのあと血液検査をして「ほら、たくさんいますよ」となると、
駆虫するのは前記のショック症状のリスクをともなうため、犬の命をおびやかすことになるのです。
何もせず一年分まとめて治療っていうのはだめなんです。

りんママさんが書かれていたようにコリー種のなかの子には、
フィラリア予防薬の成分に対して禁忌をもつ子がいます。
顔が腫れたり、発熱・食欲不振・元気消沈、ひどいときは動悸・呼吸困難、心不全もあります。
が、まったくなんともない子もいます。
薬の選定や投薬前後の注意など獣医さんとよく相談することをおすすめします。

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