獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200406-143

ひろママさんへ。
投稿日 2004年6月13日(日)01時52分 投稿者 パールちゃん

避妊手術をするのはかわいそうだという気持ちはよくわかりますよ。
手術自体が心配という気持ちもあると思います。
でも、「だからピルを入れてあげる」というのはちょっとおかしいと思います。

避妊目的のピルは薬の力でずっと妊娠している状態を作り出すものです。
妊娠していないのに妊娠している状態にするということです。
どんな薬にもいい作用と悪い作用があるように避妊目的のピルにも副作用があります。
よくいわれるのは子宮蓄膿症を誘発する副作用です。
体が妊娠継続状態になることで生殖器全体がやわらかく肥大し感染症にかかりやすくなったりもします。
食欲が以上に高まって太りやすくなったり、動作が緩慢になって活発さがなくなったり、
出産の準備として薄暗い場所にこもって穴を掘る仕草を続けたりという心理的な影響もあります。
警戒心が高まって人を避けるようになることもあります。
避妊目的の薬はただ単に妊娠しなくなる≠セけではなく、
さも妊娠しているかのような心身の状態≠人為的になおかつ継続的に作り出すわけですから、
投薬が済めばそれで安心というものではないのです。
そういう点をどうかよく勉強して、獣医さんとよく相談してみてくださいね。

次の発情までにどちらかを選択しなくてはいけないということはありません。
次の次まででも、次の次の次まででも、いつでもいいのですよ。
でも、乳腺の腫瘍など将来の病気の心配をするならなるべく早めにということです。

体重3キロのポメラニアンを避妊手術するのはかわいそうと言う獣医さんは、
猫ちゃんの避妊手術は実施されないのでしょうか?
なるべくなら小さい子のおなかは切りたくないというお考えなのかもしれませんが、
失礼ながら言ってしまうと、「だからピルを」というご意見は、
ピルのデメリットを軽んじているご意見だと思います。

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