獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200411-79

マルチレス
投稿日 2004年11月10日(水)21時23分 投稿者 プロキオン

11月9日の りらママさんへ
周囲組織への腫瘍の浸潤状況は、仰せのとおり、エコーやレントゲンであ
る程度までは判断できると考えられます。
ただ、それが全て万全であるかどうかは、メスを入れてみるまでは分かり
ません。「切ってみないと分からない」というのは、そういう意味になる
はずです。もっとも、オペに踏み切るか否かは、これらの検査に基づいて
判断されますので、ある程度のことは予測できるはずと思います。

また、一気に切除してから正体を調べる方がダメージが少ないのではない
かとの御質問ですが、良性腫瘍であることが確認されていれば、その方法
でも良いかと私も思います。
しかし、その手がかりを掴むために針による吸引をして細胞診断を実施さ
れているのですよね。ということであれば、私は個別の事情にどうも立ち
入りすぎてしまったようです。
腫瘍の正体を知るために部分切除をしてから、オペにするのか、一度に切
除してしまってから、確認のための組織検査にまわすかは、主治医の判断
を尊重するしかありません。診察していない者が口を挿むべきことではあ
ありません。
切ってはいけない腫瘍とは、具体的にといわれも、これは困りましたね。
実際のところ、私がメスを入れるべきで無いと考えている腫瘍でも、生活
の質を改善するためにメスをいれることはあります。
各種の肉腫のように 周囲組織へび漫性に浸潤していて、限界不明瞭、贈
殖速度の速いものは要注意と言えます。肉腫等は、個々の種類というより
もかなりのものが該当してしまいそうです。
が、しかし、今述べたように、生活の質の改善を目的としての手術までも
否定できるわけではありません。
癌腫においては、その種類や今述べた以外にも、腫瘍のステージと遠隔転
移の有無等も併せて評価されます。具体的な名称だけで判断するというこ
とでもありません。


11月9日の M−Aさんへ
私も他の方と同じような意見です。獣医師は人間です、神様ではありませ
ん。
機嫌の良い時もあれば、悪い時もあります。患者の具合がはかばかしくな
く部下にあたる時があって不思議ではありません。飼い主さんが獣医師に
ある程度の理想を求めるのは、いたしかたありませんが、私はむしろ人間
だからこそ、動物の治療に携わるのだと考えています。人間であることを
越えての治療は、ないように思います。
また、自らが獣医師であれば、理想は他人に求めるものではありません。
自らが、その理想へ進むべきと言えます。これは、漫画「動物のお医者さ
ん」の漆原教授のことばです!
いにしえの人々は、師弟関係を「師、師たらずとも、弟、弟たるべし」と
言葉に残しています。一度、師と仰いだ者に対して、弟子が尽くすべき礼
節を説いています。
一度、師として仰いだ以上は、見込み違いであったと感じたのであれば、
黙ってそこを辞するだけのことです。
傍から見れば、単に人間関係の悪い職場にすぎません。退職の理由も「人
間関係の悪さ、特に上司に対しての理由」というのは、日本の会社組織に
は馴染みません。ほとんどの場合で、「一身上の都合」ということになっ
ているのではないでしょうか?
上司への愚痴というのも、同じ職場の者同士でこそ、通じるものであって
他所の会社の者には、どうでも良いことなのです。愚痴がすぎれば、それ
だけ周囲の目も冷ややかになっていくものです。
M−Aさんには、ちょっと突き放した言い方になりましたが、その院長先
生を反面教師として、自らの理想を追って下さい。


11月9日の KAさんへ
ちょっと、気になりましたもので。
ac先生は、「生体への影響をなるべく低くおくことと、抗体価のレベル
をあげるため」とすでに述べておりますよ。

国内における子犬の基礎接種と比較しても とくに多すぎるということに
はならないように思います。また、10ヶ月といのも、抗体が充分に上が
るまでの待機期間を含めてのことですから、「輸入犬だけ厳しく」は誤解
ではないですか。
国内の犬にしても本来は不活化ワクチンですから、3か月齢の1回の接種
で充分と考えることの方が免疫の付与からいけば、おかしく感じませんか
? 日本の国内だって、昭和50年代までは年2回接種だったはずでしょ
う。狂犬病の清浄化が維持されてきていたのと、精製ワクチンが製造され
るようになったのが、国内の措置を軽減した理由です。
狂犬病は世界においては、人間の寄生虫感染症部門の死亡原因としては7
番目の順位であり、年間3万人から4万人が統計上死亡しています。統計
で把握できないものを含めれば、5万人を超えると推測されています。
近年、海外からの輸入犬が増加して、14日の繋留観察では、その侵入を
防ぐのには心もとない状態といえます。
国内の措置を軽減してある以上は、対象動物も範囲を広げる。ワクチン接
種の厳格さを求めるというのは、むしろ道理と考えられます。

KAさんの場合は、愛犬のワクチンショックに遭遇されているとのことで
あり、その分、思いいれがあるということなのでしょうが、この点にも誤
解があります。
ワクチンによる急性アナフィラキシーショックというものは、ワクチンの
接種回数に依存しておりません。10回接種しようと、ただの1回の接種
であろうと、その危険性は変わりません。
これは、ワクチンに責めを求めるのよりも、患者自身の体質も問題だから
です。
早い話が、最近、ハムスターに咬まれて、アナフィラキシーショックで死
亡された飼い主さんのことが新聞等に掲載されました。ハムスターをその
原因とすれば、我が国はとてつもなく死亡者が発生していることになりま
すし、動物病院へハムスターの診療を依頼することは、犯罪行為になりか
ねません。
不幸にしてハムスター由来の蛋白質に過敏に反応してしまう方がいたため
としか言い様ありません。これと同じようにワクチンによって急性アナフ
ィラキシーショックを起こして死亡する犬がいたとしても、ワクチンその
ものを危険なものとする見方には賛成できかねます。
ワクチンは安全性試験を繰り返して製造認可を受けています。ワクチンの
問題ではなく、犬自身の問題なのです。

私達臨床家は、最近、どうもアレルギーをもっている犬や猫が増えている
ように感じています。その点はワクチンのアレルギーについても言えます。
ただ、統計上は有意差なしとされておりますが、やはりある特定に犬の品
種に多く見られるように感じています。犬の種類の流行に応じて、その盛
衰が見られますが、アレルギー体質をもつ犬がなんの配慮もされないまま
にその遺伝子を拡散させてしまっているのかもしれません。もし、そうい
うことが遠因となっているのであれば、今回の誤懸念の事項は、ワクチン
のせいではなく、犬のブリーディングのあり方と言い換えた方がよいのか
もしれません。

輸出国(待機国)となる国においてのワクチン接種は、その国では普通に
暮らしながら出国を待っているのですから、犬にとって過度の負担になっ
ているとは思えません。
また、3〜4ヶ月齢で空輸されてくる犬本人にとってみれば、10か月齢
をすぎてからの方が、犬にとってはありがたい措置のように思われます。
むしろ、今までのように幼犬時の輸入に歯止めがかかるのですから、犬に
とっては有益と考えられませんか?


11月10日の sakuraさんへ
犬を轢いて、そのまま走りさられた方の人間性については言及しません。
その点については、いまさらわざわざ述べる必要はないことです。誉める
者はいないはずです。
ただ、轢かれた原因の一端は酷なようでも飼い主さんにもありますし、ど
なたかが言っていたように 相手方からの自動車の修理代請求も考えられ
ないことではありません。
自動車教習所で、ブレーキをかけるな、そのまま走り抜けと教えるという
のも耳にしたことがあります。
犬を轢かれた者にとって、ひじょうに残酷なことを申しておりますが、す
でにレスして下さった方が発言していることが、事実であることを、そし
て決して、sakuraさんを悲しませるために言ったのではないことを
伝えたくて、私も同じようなレスを重ねました。







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