獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200412-91

>妊娠か想像妊娠?
投稿日 2004年12月10日(金)10時38分 投稿者 チェリー

茶々さん、こんにちは。
獣医師のチェリーです。

想像妊娠という表現の仕方は、一般的に犬ではしません。
通常犬以外の動物は、卵巣から排卵された後、黄体になり、妊娠していなければそれが自然に退行していきます。
ところが、犬の場合は排卵後の黄体がほぼ妊娠期間に匹敵するぐらいの期間機能します。
つまり黄体ホルモンの放出があるわけです。
犬以外の動物の場合は、黄体ホルモンが出たとしてもごくわずかで短期間なものですが犬ではおよそ2ヶ月間持続します。
この黄体ホルモンのおかげで、乳腺が腫れたり、営巣動作をしたり、食欲がでたり・・・などなど妊娠している状況と同じ兆候を見ることがあります。
この一連の状況を「偽妊娠」と呼んでいます。
ですから想像による妊娠ではなく、実際にホルモンレベルから判断しても妊娠と同じ状況であるためこのように呼んでいます。

分かりやすく言えば、妊娠していようがいまいが、黄体ホルモンが機能的に出ているということです。

私は、この偽妊娠の兆候のひどい子に対しては、避妊手術をお奨めしています。
発情後のたびに、乳腺の腫脹を見る場合は犬にとっても負担のかかることですし、炎症や腫瘍の発生を引き起こす引き金になるかもしれません。
勿論、犬の個体によって程度の差はあります。
発情後、偽妊娠の兆候の全く出ないワンちゃんもいます。

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