獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200507-81

集合注射の事故
投稿日 2005年7月7日(木)00時12分 投稿者 はたの

結局のところ、
「色々な状況が混在してい」るあたりがややこしいモトですかね。
 双方向の保険はあって当然ですが、古い慣習を引きずっている行政&獣医師会だと・・・
 こういうシチュでは、個々の獣医師会の前例その他にかかわらず自動的に保険は使うというのが「現在社会から期待される」デフォでしょうね。

 通りすがりの..?人目さんの前提と設問であれば、

獣医師の過失は大。
飼い主さんの過失は小。
管理責任者の責任は大。
主催者の責任も大。
補償は噛まれた獣医師vs噛んだイヌの飼い主で争うべきものではなく、主催者が負担。金額は事前に決めてあった基準に基づく。基準がなかったら獣医師と主催者が争う。通常ならば保険でカバーしているはず・・・していないのなら、それは主催者のミスですから、主催者が責任を取る。
 飼い主の過失に対して請求を行うのも主催者。請求し得るのは重過失相当以上かな・・・。
 というようになるべきものではないかと思います。
 呼びかけを行政の名において行っている以上、「場を提供しただけ」は通らないんじゃないかな。
 
 たとえて言うならば、子供がいくキャンプ。集合場所で子供がぐずって、なだめる親。参加するよう説得する先生。子供が「先生なんか嫌いだあ、あっちいけよっ」と手を振り回したら先生の目に入って怪我をした・・・
 キャンプの主催者が、「交渉は先生と親御さんとで直接」とはよう言いませんね。
 これは、加害者・被害者が逆の場合も大いにあり得ることを考えれば当然ですが。 

 要するに、保険にせよ、保定にせよ、獣医師・畜主双方とも手当しておけば、仮に片方が抜けていてもたいていの場合他方がカバーでき、「どちらもタコ」は少なくできます。被ってムダになるとしても、まあ安心料で。そういう意味では、すべての畜主仲間に「個人賠償責任保険」への加入を勧めておきます。
 が、みんながみんなとはいかんわけで、事故がいかにも起きそうなシチュでは、勧進元が少なくとも保険ぐらいは手当てしておくべきですね。不幸にも関係者全員が危機意識ないと困ったことになる・・・のでしょうね。


>とびいりちゃん さん
 釣りかとも思いますが、読むだけのかたもおられますしね。

 交通事故との同一視はいただけません。その手前勝手な歪曲にいたっては・・・
 第一に、現在においても日本の道交法は、「自家用車を持つ者は富める者」という明治・大正期の考えを引きずっており、他分野に比べて運転者の義務が重くなっているからです。
 第二に、第一項にもかかわらず、交通事故においても、過失相殺という考え方はふつうに通用しています。轢かれた側の責任も常にゼロというわけではありません。
 そもそも、個別事例でならともかく、法律論ならば、非意図的な場合について「原則として100パーセント」というのはまず出てこないのですよ。


 実力と覚悟、あるいはその双方に欠ける獣医師がぼやく気持ちもわかりますが(「獣医師は猛獣使いではない」のは確かですが、「イヌは猛獣ではない」んですけどねえ)、中長期的にみれば、治療の腕とか価格とか人当たりとかの他の要因がイコールであれば、
1 噛まれない獣医師
2 噛まれても文句言わない獣医師
3 噛まれて文句言う獣医師
 の順に淘汰圧に対して強いであろうことは、無関係に容易に推測されます。そしてこれは当事者の希望とは無関係ですね。私が期待するところ、獣医師は(学校で習ったか否かは別として)生態学なり社会生物学なりの基礎は修めておられるはずで、ということは、自らの主張と淘汰の網が異なることは了解しておられることでしょう。
 そして(畜主に責任を見いだしたがる)獣医師にとっては残念でしょうけれど、畜主のイヌをコントロールするスキルに対する淘汰圧は現在の国内法などからして強いとはいえません。こちらの改善に期待するのは(願望するのはご自由ですが)あまり理性的でもないでしょう。開業獣医師同士には限られたニッチを奪い合うゼロサムの強い生存競争がありますけれど、畜主同士にはそうした競争はないので。好むと好まざるとに関わらず、生き延びるためには、噛まれないスキル、噛まれても文句を言わない克己心を磨くことが大切だ、ということですね。
 畜主からすれば、そうした腕と覚悟に優れた獣医師の割合が増えるのには文句があろうはずがありません。金をもらう者払う者、というくくりは、こうした場面でも強く効きます。

 もう少し獣医師に寄った立場で見てみますが、「噛まれない(少なくとも大怪我はしない)」ってそんなに難しいですか? 
 「リードが50センチ」ならば詰めて持ってもらえばすむことですし、実際には50センチが20センチでもあかん時はあかんですわね。
 狙いにくるような攻撃的なイヌは見ればわかりますね。見てわからずに入院犬舎から出そうとしてスタッフに止められたって例も知ってますが、本人も認めるぐらいイヌの気分読みが下手な獣医師だしな・・・イヌ好きだし、意地にかけても噛まれたと言ってぶーたれたりしない人なんでいいんですけど。
 つまるところ、イヌは猛獣では「ない」。飼い主でさえ犬舎から連れ出せないようなイヌなら別ですが、連れ出せるイヌの話ですね。何かの理由で噛もうとすることはあるけれど、油断せずに先読みしているのにも関わらず縫うような怪我をさせられるという状況が正直想像できないのです。ネコの反応速度とネコ以上
のパワーを持つヒョウはやっとられん、というのはわかります。しかし、たかだかイヌですからねえ・・・段取りをきちんとしていてもなお噛まれるってことあるのんでしょうか? 気分の表出と反応速度とパワーからして、イヌは、「最低限のスキルがある者が油断せずに」対応している限りなんつーことはない動物ではないかと。
 ぼやくよりは、スキルを磨く方がお得でしょう。

 とはいうもののの、集合注射に限れば、「保険かけろ」というプレッシャーを行政及び獣医師会に掛けるのが建設的でしょう。自発的にはなかなか変わらないというのが組織というものですが、外圧ではアッサリ変わったりしますし。

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