意見交換掲示板過去発言No.0000-200508-120
re:犬 ワクチン接種5日後に大きな腫れ |
投稿日 2005年8月13日(土)15時06分 投稿者 プロキオン
ワクチンを接種した部位と一致しているのであれば、接種手技における 問題かもしれません。 これは、ワクチンだけとは限らないのですが、ワクチンの場合は、混合 不十分なワクチンとか、反復注射とかで、異常な局所反応が見られるこ とがあります。 今月号の「日本獣医師会雑誌」において、食肉検査時に部分廃棄される 豚があるところから、全農の先生方が豚を用いた再現試験を実施した記 事が掲載されています。 再現試験によれば、いずれも組織学的には、「肉芽腫」「肉芽腫性炎」 「線維性増生」であり、しばしば病変部に油滴を伴っていたとあります。 「肉芽腫」というのは、腫瘍ではなく、病原体や異物に対する生体の反 応であり、免疫反応であり炎症の一過程ともいえます。 「肉芽腫性炎」は、炎症が燃えさかっている状態であって、浸潤細胞に マクロファージや線維芽細胞が認められ、これから肉芽腫へ移行してい くというものでしょう。「線維増生」は逆に炎症よりも線維芽細胞が優 性で、慢性化像と考えられます。これらは、腫瘍ではありません。 ワクチンは、生体に免疫反応を誘起させなくてはならないのですが、と くに不活化ワクチンおいては、強い炎症がおきないため、強い炎症をひ きおこすためにアジュバンドという炎症を強くさせるための物質が添加 されています。 再現試験における「病変部の油滴」とは、オイルアジュバンドが添加さ れていたことを意味しています。 考察によれば、アジュバンドの吸収反応に接種した部位による差異があ るようで、皮下接種を指定されているワクチンを筋肉内接種した場合に 重度の局所反応がおきているようです。 ただ、これらの反応はワクチンに限定されず、抗生物質でも他の薬剤で も引き起こされます。 最初に私は、「ワクチン接種の手技における問題」と書きましたが、ワ クチンは筋肉接種も想定されているわけでして、溶解混合が不充分で、 かつ、濃い部分を極めて狭い部位に入れてしまったというように複合的 な要因が必要なのかもしれません。 海外の猫のワクチンで問題となった事例でも、結局はワクチンのアジュ バンドよりも過剰な炎症が誘起される猫側の体質こそが問題として大き いという結論だったはずです。 したがいまして、次回のワクチンにおいては、希釈を充分にして吸収が すみやかに行われるように注意して接種して貰って下さい。それで、同 じことが起きるのであれば、犬の体質を考えなくてはならないでしょう。 また、起きていることが炎症ですから、ステロイドを用いるということ はおかしくありません。 「肉芽腫」は慢性化した炎症の顔もありますので、むしろ、それほどス テロイド投与しなくてもと思います。初期にポンと用いて、経過を追っ ていくでも効果にあまり相違は出ないのではと。 # この辺りは、比較してみた事が無いので机上論ですが。 |
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