獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200508-184

マルチレス
投稿日 2005年8月20日(土)12時38分 投稿者 プロキオン

8月16日の こだまさんへ
ちょっと先に整理しておきますが、「ヘルニア」は「変位であり、突出
」と言えます。脊椎だけでなく臍ヘルニア、鼠径ヘルニア、横隔膜ヘル
ニア等もあります。
「梗塞」には血流障害を伴った「貧血性梗塞」と出血を伴った「出血性
梗塞」があります。いずれも、血液の供給が途絶えるので、そこから先
の組織は壊死してしまいます。普通の組織であれば、凝固壊死という形
になります。
が、脳神経組織においては、この組織が脂質に富んでいるために死滅し
た組織が凝固しません。凝固せずに融解するのです。この融解壊死の状
態が「軟化」と呼ばれる現象なのです。
それぞれ一連の現象として、関連性はあるももの同一のものではありま
せんし、発生する器官や組織においては、別の過程をたどることになり
ます。
「ヘルニア」は治療する事ができます。「梗塞」は壊死してしまった部
分の回復はありませんが、その部分が小さければ、他の正常な部分が機
能を補ってくれます。
「軟化」は、壊死の一種ですから、元に戻るということはありません。
軟化が発生した部位が致命的な箇所でなければ、生存する事は可能とい
えますが、部位によっては…。


8月17日の kyouさんへ
小鳥を飼育されている方の所へ、迷い込む事が多いようですから、こま
めに情報をたぐっていくのが一番です。
情報を手繰り寄せるということは、自らも情報を発信して、ネットワー
クを構築していくことです。
迷子の鳥の心理は、私には分かりません。それでも、まず自分の翼の力
に酔って飛び回ってしまった後は、お腹がすいているんではないでしょう
うか? だから、安全そうで餌のあるところを捜しているのでは?


8月18日の sirayukiさんへ
左側によろけるということですが、怪我とは限りません。神経症状の1
つかもしれません。
ウサギには、そのような疾病がありますので、動物病院を受診するよう
にしてみて下さい。


8月18日の こじうどんさんへ
「パルボウイルス感染症」については、母親からの移行抗体が他の疾病
の移行抗体に比べて、長く残存しています。
このために、せっかくワクチンを接種していても、ワクチンブレイクが
発生してしまってワクチンによる免疫が獲得できていないという事態が
しばしば起こり得ます。
ワクチンは接種する時期と量が極めて重要です。残念ながら、獣医師が
接種したワクチンの中にもブレイクが起きてしまうことはあります。
それがパルボワクチンということであれば、なおのことといえます。
したがいまして、「接種してあるというだけでは、パルボワクチンの接
種歴を信用して、診断から除外してはならない」という格言が獣医師の
世界にはあります。
犬の月齢が疑わしい、正しい時期に接種されているという確証がなけれ
ば、私もパルボウイルスを除外しません。鑑別診断リストからは外すわ
けにはいかないでしょう。
# ワクチン自体は信用できますが、接種の仕方が悪ければ効力を発揮
  できないということです。


8月18日の さくらさんへ
子猫に蠅の蛆がたかっていましたか。どこかに化膿性の炎症があったと
いうことになりそうですね。
ただ、蠅の蛆は、気持ちよいものではありませんが、壊死した組織から
食べてくれているはずですから、逆に傷口をきれいにしてくれていると
も考える事ができます。私はオキシドールで傷口洗っちゃいます。奥の
方まで入り込んでいる奴も発砲で押し出されきますから、ピンセットで
片っ端から取り除いています。これを何回か繰り替えします。
sutemaru先生と同じく、よくぞ保護して下さいましたというと
ころです。
生きながら、体を食べられるというのは、誰しも望まないことです。子
猫はきっと感謝しているはずです。言葉は話せなくても、心は存在して
いますからね。


8月18日の スキーさんへ
そのビーグルはもしかして肥満犬ではないですか?
お書きになられている部位は、どうも所謂ロースの部分に相当していま
せんでしょうか?
お肉のロースには、その中にロース芯と呼ばれる部分がありますが、こ
こに脂肪が蓄積してくると、ロース芯が腫大して、腰からお尻にかけて
の正中から横にはずれた部位が固く盛り上がったようになってきます。
私のところへ来ているビーグルにも同様な犬がおりますので、もしかし
たらということで。


8月18日の コップさんへ
すでにパールちゃんとのやりとりがありますが。
フィラリアの予防薬の安全性試験においては、服用量の5倍くらいの摘
要は安全性が確認されていることがメーカーのパンフレットには記載さ
れていますので、御心配には及ばないはずです。
また、小穿孔ヒゼンダニ等の駆虫に際しては、同様のアミノグリコシド
製剤の30倍を超える投与が必要とされています。
感受性の高い犬種でなく、かつ健康な犬であれば、まず心配はないはず
ですよ。


8月18日の 舞いさんへ
獣医師というのは、人間ですから、万人に対して受けが良いということ
はありません。Aさんにとっては評判がよくても、Bさんには受けがよ
くないということはあります。
動物の生き死にに関わるわけですから、その結果によっては飼い主さん
の評価にも差が生じることは避ける事はできません。それ以前にも、獣
医師個人のパーソナリティが気に触ることもあるでしょうしね。
で、私が言いたいのは、他人の評価を自分の評価としてはいけないとい
うことです。
もし、飼育している動物が斃死した場合、あの獣医師を誰だれさんに勧
められたからだということがないようにということです。獣医師を選ぶ
のは必ず自分自身の感性で選ぶようして欲しいと思います。


8月19日の atcafe7さんへ
目が青いということであれば、色素は薄いということになるのでしょう
か? ダックスの中には確かに被毛の色彩によって、交配してはいけな
いとされる組み合わせがあるようです。
ただ、目が青いのは普通ではないかもしれませんが、直ちに異常と呼ぶ
べき現象なのでしょうか? 私には判断できません。視覚障害が発生す
ると決まっているのでしょうか? 発生するかしないかは、今の時点で
は私には予測できません。
私の家には、下半身麻痺の猫がいて自力排尿ができないので人間が手を
貸してあげないと命を繋げません。その状態は確かに異常であって、障
害といえます。が、しかし、その猫を飼育してもう5年経過しています。
その猫にとっては、手を貸してくれる誰かが必要です、私にとっては、
手のかかる面倒な存在なのですが、それでも傍らに居てもよいのではな
いかと思っています。
自分が誰かに必要とされる存在であると認識できるのも、そう悪い気持ち
はしないというか…。利害だけで動物と暮らしているのではないという
か…。まあ、そんなところです。



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