獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200601-105

re: ウサギの奥歯
投稿日 2006年1月13日(金)11時27分 投稿者 プロキオン

なかなか、レスがつかないようなので、私から。

ウサギの歯式(歯の種類と数)は、切歯(2・1)犬歯(0・0)前臼歯(3・2)
後臼歯(3・3)となっています。
つまり、臼歯においては、上下の顎において、同じ本数ではなく、6本と5本とで
かみ合わせて咀嚼するようになっています。まんべんなく草をすりつぶすためだと
考えられます。
したがいまして、上下の歯がきっちり対になっているわけではなく、少しずつずれ
ているので、抜歯という処置が全ての解決とは考えない方がよいと思われます。
臼歯は臼歯とこすり合わせることによってのみ正常な発育と磨耗を行うこととなり
ます。この生理的な作用と歯並びがあるかぎり、すべての抜歯を行わないかぎり、
程度の差はあっても臼歯とのお付き合いは残る可能性があります。

また、眼球、眼窩下の炎症(膿瘍)というのもウサギでは遭遇することは、決して
少なくなく、その多くが臼歯の根先の炎症に由来している事例が多いようです。
臼歯からきた細菌が、眼球の奥のリンパ組織に飛んでしまって化膿したということ
にでもなりましょうか。
眼球の後部にメスで切開して、排膿させて、洗浄消毒してあげる必要があります。
ただ、そのような状態になる前に眼球の突出による角膜の乾燥があって、潰瘍性の
角膜炎を呈してしまっていることが多いようです。眼窩下膿瘍の前にすでに角膜炎
で視力を損ねてしまっていることが多いので、そちらにもご注意下さい。

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