獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200604-80

この部分には賛成できかねますが、
投稿日 2006年4月12日(水)10時48分 投稿者 プロキオン

>一般飼い主さんにあくまでも私見として一言申し上げたいのは、
 来年1月以降、麻薬を使用できない動物病院では(避妊・去勢)手術は
 受けられない方がいいということです。


昨年の12月13日に「ケタミン」が麻薬指定されるというニュースが流れて、その
時に私が思ったのは、「プロポフォール」に変更しようかということでした。
ところが、その翌日に女医さん(人間の方の医者)がプロポフォールで投薬量を誤っ
て死亡してしまったいう事故がありました。これは、自分自身に麻酔薬を注射してい
てのことです。この女医さんの場合は、そういう習慣を持っていたということになり
ます。それゆえの事故でした。
 # 実際の、プロポフォールは極めて覚醒が早く、うっかりしているとすぐに覚醒
   してしまって困るくらいの薬剤です。

実際問題としては、他の麻酔薬でもかまわないし、鎮静剤のみでガス麻酔に移行させ
てもよいわけであって、ケタミンがなければ手術は不可能ということではありません。
私といっしょに、麻薬使用許可申請をされた先生の1人は、許可はとったが、事務手
続き(申請ではなく、薬剤の管理上の手続き)が煩雑なので、ケタミンから切り替え
ようと考えています。
その先生は、鎮静剤とガス麻酔のコンビでの手術を以前から実施していましたので。

私の所属する獣医師会では、今回の指定以前に、麻薬使用の許可を持っていた病院は
開業部会の1/5程存在していました。みな鎮痛剤としての処方を目的としたもので
した。
古い先生であれば、30年以上も前から麻薬を使用していた先生もおられたわけであ
って、それで問題が発生したこともありません。
私自身はオピオイドという分類の薬剤を選択していますので、鎮痛剤としても麻薬を
使用する気は、今もありません。

ケタミンが麻薬に指定されたかと言って、飼い主さんの何かが変わるとは考えていま
せん。ケタミンはケタミンであって、使い方が変わるわけでもないです。動物病院の
事務が増えるだけのことです。
使い勝手の良い薬ですから、製造されなくなっては困るというのが、大方の意見だっ
たはずです。(飼い主さんには、確認できませんが、獣医師フォーラムの方に参加さ
れていた獣医師であれば、分かると思います)

ケタミンは比較的安全性が高い短時間麻酔剤であって、使い勝手が良い。使用許可の
申請はごく簡単であるから、使用していくためには、仕方ないというところが多くの
獣医師の考えるところでしょう。
ただ、これを契機に他の麻薬まで使用するか否かは、別の問題です。各人の思うとこ
ろのままではないでしょうか。
そして、ケタミンがなければ安全な手術ができないかというと、これは全然別の問題
ではないでしょうか。昨今の手術はガス麻酔が主流です。ケタミンといえども、導入
あるいは、簡単な外科処置が摘要となっているはずと思いますよ。

ケタミンを使用しない病院では、避妊や去勢のような手術でさえ、受けない方が良い
とまでは、発言がオーバーランしているように思いました。

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