意見交換掲示板過去発言No.0000-200604-83
麻酔について |
投稿日 2006年4月12日(水)13時00分 投稿者 V
麻酔について...一般論? 一般の方には解りづらいかと思いますが、 最も安全な麻酔というのは、あるようなないような・・と私は思います。 Aちゃんにとって最も安全と思われる麻酔がBにとっても安全かというと そういうことはなく、また同じAちゃんに麻酔をかけるときにも 処置・手術の内容によって安全な麻酔(選択すべき麻酔法)は変わってきます。 そして、また同じ手術(同じような月齢・健康状態)であっても 性格によっても安全な麻酔(選択すべき麻酔法)は変わってくると私は思います。 ですから、安全な麻酔とは..という問いに簡単に答えることはできないと思います。 しかし ある程度の一般論として安全な麻酔について述べることは できると思います。そこで、ケタミンを使った(ケタミン単独ということでは ありません)麻酔はあくまでも一般論的?には安全であり実用的なものであり、 ケタミンは非常に有益な麻酔・鎮痛薬だと私は思います。 本来麻酔をかけるときには血管を確保すべきです。また、 できるだけ興奮させることなく穏やかに麻酔状態に持ち込む(=導入)のが いいと私は思います。(麻酔には導入・維持・覚醒という段階があります。 穏やかな・速やかな導入・適切な維持・そして穏やかな覚醒というのが一般的に 望ましい麻酔だと私は思います。) そこで、去勢・避妊手術・・ 健康体で時に若齢体への麻酔について.... まずこの場合、性格によっては事前の血管確保(血管への留置針挿入)すら 難しいことがよくあります。その場合、筋肉注射で鎮静もしくは麻酔を かけることになるのですが、ケタミンは筋肉注射で他の鎮静剤等と 一緒に混ぜて麻酔(充分な鎮静状態にする)をかけることができます。 ケタミン以外にも筋肉注射で充分な鎮静状態にすることができる薬は ありますが、私としては心肺抑制がケタミンを使ったときより強くでて 危険なものになると思っています。また、ガス導入というのは...個人的には 好ましい方法ではないと思っています。もちろん、維持はガスがいいと 思いますが、そのときには充分な鎮痛処置をしてあげる必要があると思います。 (またまた、一般に方には解りづらいかもしれませんが、 痛い麻酔・痛くない麻酔というのはあります。)ケタミンにはその鎮痛作用も あります。ちなみに、プロポフォール(だけで)は痛い麻酔となり 私としては麻酔薬ではなく導入薬だと思っています、そもそも 筋肉注射できない薬です。また、 その長所は作用時間が短いというだけで、決して安全な 麻酔薬とは思っていません(もちろん、ケースバイケースですが..一般的に 健康体ではない容態の悪い患畜にはいい薬だとは思います)。 ということで総合的にみて健康体で時に若齢の犬・猫にそれなりの痛みを伴う手術を するときにはケタミンは必要不可欠といえば言い過ぎかもしれませんが、 あった方がいいと思っています。さらに、 安全な麻酔...選択すべき麻酔もしくは選択せざるを得ない麻酔法というのは 病院の規模などによっても変わってくると思います。他との組み合わせで 比較的安全に筋肉注射で麻酔をかけられうという点で、小規模な施設ほど ケタミンの必要性は高まってくると思います。ということで、私見として 来年1月以降、麻薬を使用できない動物病院では(避妊・去勢)手術は 受けられない方がいい...としました。これは、なんでもかんでも ケタミンを使わないといけないということではありません。 ケタミンという選択肢がある病院の方がより安全な麻酔を かけられるのでは? ということです。 最後に私の前提は、 ケタミンの麻薬指定によって麻薬を取り扱う動物診療施設が 急増するということです。ケタミンの麻薬指定をプラス思考?で考え この機会に他のいわゆる従来の麻薬も使ってみようと思う 獣医師がそれなりにいると思っています... 免許とって保管庫用意してケタミンだけというのは 私としては考えにくいです(やはり、このへんは個々個人の 考え方によるとは思います。)もし、この前提が、 おかしなものであれば今までの意見も無意味となります。
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