意見交換掲示板過去発言No.0000-200605-103
re:業務としてではない医療行為について |
投稿日 2006年5月10日(水)12時00分 投稿者 プロキオン
法律というものは、所管している省庁が発行している解説書を読んでいただくのが、最 も手っ取りばやいのですが…。 それでも、所管省庁の解釈と他の関係法令との整合性がついていないとなりませんので 総務省による擦りあわせが必要となります。このような理由から法律を作成した所管省 庁といえども、他の省庁や裁判所から「待った」がかかることもあります。 「業務として」「自己の所有にかかわる」とか「獣医療行為とは」は農水省の発行して いる解説書の範囲のことです。 で、今回の元の投稿は、「観血的処置」を希望しているようでしたが、「観血的」とい うことであれば、子供が転んで擦りむいた傷を消毒するという行為とは異なると考えら れます。 開いている傷口を縫合したり、メスをもって切開する行為に相当するのではないでしょ うか。 技術的には、娘の盲腸も、奥さんの子宮筋腫であろうと、私には実施可能ではないかと 考えていますが、実施しようとも、やって良い事とも思っておりません。私が、もとの 投稿を黙殺したのは、論外だと考えたからです。 たすけつさんの投稿を読んで、「観血的」の部分を再度確認しようとしたのですが、ど うも元の投稿自体が見つかりません。 また、「非観血的処置」であっても、認めがたい例もあります。 先日、チワワが臭くて困るのでなんとかしてくれと来院したのですが、臭いの元という のが、睾丸を輪ゴムできつく縛られて、壊死してきたためでした。 連れてきた飼い主の奥さんは、留守のうちに子供がやったと説明していましたが、どう みても子供できる範囲を超えていましたし、腐って落ちることを意図したものでした。 輪ゴムが食い込みすぎていて、どうなるものでもないから、キチンと手術して血管や傷 を塞いだ方がよいとして、当該犬を預かって入院させることにしましたが、2時間もし ないうちに犬を取り返しにやってきました。 その理由は、貰った犬にそんなお金はかけられないと、義父母から叱られたからだそう です。ああ、やっぱり山羊や肉用子牛の非観血的去勢を見たことのある世代が関わって いたかという感じでした。 動物種も異なりますし、成犬になっている犬にとるべき処置ではなかったです。 実施した本人は、「去勢」のつもりでいても、実際には化膿壊死して臭気を発している わけですから、獣医療法を云々するまでもなく、動物愛護法の方に抵触するのではない かと考えられます。傍から見れば、「虐待」になってしまいそうなケースです。 獣医療行為の免許保有者以外の禁止は、医師・歯科医師とならんで、尊重されるべきも のというのが、法学者の池本卯典先生の見解です。私もその見解に倣いたいと思ってい ます。 ちなみに、今、弁護士会の方でも、弁護士以外の職種による「非弁活動」に対して、告 発も含めて防止活動に努めているそうです。
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