獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200605-112

re:フィラリア予防について
投稿日 2006年5月10日(水)19時20分 投稿者 プロキオン

>フィラリアの予防薬は月一回投与し、前月分の感染したフィラリアを駆虫するという
 ものだと聞いております。

はい、そのとおりです。感染して体内移行している段階のフィラリア幼虫を駆虫するた
めの薬です。

>しかし、薬の副作用が気になります。

未感染犬における安全性試験においては、5倍量の投与でも、妊娠犬での安全性も確認
されています。
心配されている副作用というものが、「感染犬」に投与した場合の副作用の方でしたら、
原則は服用できません。このような感染犬に対しては、フィラリア成虫用の駆虫薬の投
与という別の方法が取られるか、副作用を減ずるための処置と併せての服用という慎重
な方法が必要です。

お話から、推測するには、未感染犬への投与の方と受け取られますので、副作用につい
ては、まず心配される必要はないでしょう。

>もし、月に一回血液検査でフィラリア感染の有無を確認し、感染していたら薬で駆虫
 、していなかったら薬は投与しないという方法でフィラリアは予防できないものでし
 ょうか?

これは、毎月フィラリアの感染の検査を実施するという意味ですよね。 ちょっと、
現実的ではないと思います。

現在、フィラリアの検査というのは、ミクロフィラリアを確認する方法と免疫学的に
フィラリアの存在を検出するという方法になるはずです。
どちらの方法においても成熟したフィラリア雌成虫の存在が前提となります。これが
どういうことかと申しますと、フィラリアが感染していても、成虫にまで生育してい
ないと感染を見逃すこととなります。それ故、毎年シーズン始めに血液検査を実施す
ることが推奨されているわけです。換言しますと、シーズン中にフィラリアの幼虫の
新たな感染があっても、成虫になるまでの期間は検査にひっかからない可能性がある
ということになります。(フィラリアは1ヶ月や2ヶ月で成虫になるわけではありま
せん)
さらに、具体的な話になると、今年毎月血液を検査していても、フィラリアの感染は
見逃す可能性があり、所謂予防薬を服用していなければ、来年の春に検査したら、成
虫がしっかり心臓に巣くっていたということになる恐れがあるということです。

犬自身は、毎月採血されて痛い思いをしていても、フィラリアに感染してしまう可能性
があるということなのです。
シーズン前に1回だけ検査して、あとは毎月、服用させるというのが、犬にとってはベ
ストの方法と言えるはずです。

「フィラリアの感染が確認されたら、」というのは、成虫とミクロフィラリアの存在を
意味しておりますので、これを駆虫するというのは、それこそ副作用の問題を心配しな
がらのこととなります。
今すでこのような状態であるという犬であれば、いたしかたのないことと言えますが、
そうなるのを待ってのことであれば、動物病院としては、決してお勧めのできることで
はありません。

どうもフィラリアの生活環の中で成虫と幼虫が、いっしょになってしまっているように
思えました。毎月、服用されることの方をお勧めしますよ。

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