獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200605-345

BIg1先生へ
投稿日 2006年5月30日(火)02時29分 投稿者 山下 貴史

この文章を書いていてフト思ったのですが、もしかしたらBig1先生の「軽症」と「無症状」とかは、獣医学的な部分とは違うところでの話ですか?であれば、獣医学的な用語として把握した僕が間違いになるのかもしれない…と思いました。通常、獣医師相手の場合そのコトバにはそれだけで意味を持つと思っていまして、それでお互いに状況を把握すると思います。(心臓もISACHCやNYHA、腎臓も3段階評価や4段階評価をしますよね?それでお互いに意味が通じます。)フィラリア症の会話の時に獣医師がなんの断りもなく「軽症」といえば、重症度分類の「軽症」と考えてしまいます。といいますか、そう考えていました。なので先生の基準では外科が適応にならないと考えました。むしろ、AHSのガイドラインの基準はBig1先生と言ってること違うのに、どうしちゃったんだろう?と考えていました。「突起物のある異物」=「ビー球」とかは僕からすれば、「重症」=「軽症」かよ?って思いましたが、もし先生がフィラリア症重症度分類を知らなくて、あの書き込みなのであったならば、意見の相違はないように思います。先生が重症度分類で書いているならば、以下にBig1先生のおっしゃってることが、いかに僕にとってちんぷんかんぷんであるということが書いてあります。(この頭の文章が最後に書いたものなのでつながり悪いです)

<ここが本当の文頭(長文で申し訳ございません)>
Big1先生、こんにちは。

良く文章読んでますか?僕がどこで外科自体を否定しているのか、さっぱり分からないのですが・・・。
先生がさっき「異論ありません」と示されたガイドラインでの記述は、すでにそっくりそのまま5月27日(土)18時の僕の投稿「Big1先生こんにちは」に書いてあります。

また、先生のように自分の投稿を紐解く書き方をすれば…
最初の投稿では「通常のフィラリア症ではオススメできるものではありません。〜急性フィラリア症『など』の際に行なう〜」と書いています。『など』と余裕を持たせる書き方。
二度目の投稿でも、「適応基準はともかく方法としては「全然OK」ですし、確かに「虫がいなくなること」は良い治療法」とか「もちろん、長期間の心臓へのフィラリア寄生による物理的影響を考慮した上でじゅうぶんなインフォームドコンセントをして、先生のような熟練者のもとで処置されるならば素晴らしい方法のひとつにもあると思います。」とか別に否定にはならない。
必要に応じて外科も可能な処置としているつもりですが?必要に応じてですが。

僕にとって摩訶不思議なのは、『先生の投稿「異論(5月27日12時)」の中で「これは、急性症になってからよりも、むしろ無症状ないし軽症のうちに実施したほうが、より安全で有効です。」(本日の投稿では無症状だけに変わっていますが)』とある部分であります。その時点で一般の方の見る掲示板で「安全」だの「有効」だのとおっしゃる根拠が分かりませんと申しております。

ご存知の通りフィラリア症の場合、獣医学的に「無症状」と「軽症」には定義があります。(いつからなんでしょうか?AHS1999ではすでに確立されてましたね。)
「無症状」 : 臨床症状が見られない状態であって、重症度分類でいえば「1(軽症)か2(中等度)」の可能性があります。
「軽症」 : 重症度分類「1」のことで、レントゲン・臨床病理検査での異常がない状態です。無症状の場合もあれば、セキが見られる(=無症状ではない)場合もあります。
これらを考慮していくと、先生の記述は「重症度分類1でも外科が適応」と言ったことになると捕らえられます。確かに20世紀終わりにマクロライド系抗生物質に成虫駆除効果があることが分かってきましたから、昔の教科書には軽症でも外科でもよいとされている日本の教科書もあります。しかし、AHS2004では先生の記載からコピペしますと「摘出(吊りだし)手術が行える施設ならば、濃厚感染でリスクの高い犬ではこの方法が第一選択肢となる。」とあります。まさか先生は「濃厚感染でリスクの高い犬」=「軽症や無症状の犬」とお考えですか?これも歪曲ですか?

また、Mark D. Kittlesonは、その著書「Small Animal Cardiovascular Medicine(小動物の心臓病学)」の中で外科適応について、エコー上で肺動脈基幹部に多数の成虫がある場合に限られると記しています。

フィラリアについてBig1先生に語るのはまさに釈迦に説法ですが、フィラリア成虫は血流量の問題で後葉や副葉の肺動脈にいるのは常識ですよね?しかもかなり末梢。さらに、血管の絨毛状増殖等により末梢になるにつれて血管は切り詰めになったりしますよね?しかも寄生数が少ない場合、迷走する成虫はいるにせよそのほとんどは肺動脈基部にまで来ていないことがほとんどと思います。重症度分類で「軽度(1)」の場合で、外科を適応にするということは、そこまで先生はアリゲータ鉗子を選択的に入れて成虫を駆除できるということですか?
そうでなければ、駆除しきれない成虫がいるはずです。すると、結局メラルソミンやマクロライドの駆除を実行するわけで…軽症や無症状における釣り出しを有効かつ安全とする・・というよりも結局やること同じなら釣り出しをする意味が分かりません。

先生が書かれた非難に対しても問答しても良いのですが、それは学術とは関連ありませんし、FVETの時にもそういう攻め方しかしないBig1先生でしたから、スルーします。

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