獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200606-331

re: 血管肉腫と周皮腫について
投稿日 2006年6月25日(日)12時05分 投稿者 プロキオン

今回の質問は、私のレスに対してですね。

前回も書きましたように血管肉腫と血管周皮腫とでは、腫瘍を構成する由来細胞が異な
りますので、もともと別の腫瘍です。
私が「混同していませんよね」と述べたのは、本来であれば、血管肉腫の方は肝臓や脾
臓のような血管の豊富な組織に発生することが多いので、体表に一度に5箇所も形成さ
れているという点から、病理組織検査によって、確定診断はついていますよねという確
認の意味で発言しています。
# 血管周皮腫の方は体表にできることも多いので。名称による混同はありませんよね
  という念押しです。

しかし、今回の投稿を拝見すると、この病理組織学的な診断について、どうもあやふや
のように受け取れました。

双方の腫瘍の鑑別点については、飼い主さんに説明してもどうしようもないでしょう。
別に馬鹿にしているわけではないのですが、前回記載したような特徴が肉眼的にはある
かと思いますが、確定診断には、病理組織学的検査が必要であり、これは獣医師であれ
ば可能というものでもありません。
その道の勉強をしてきた専門家が実施するべきものであって、大抵の病院でも外部検査
機関に依頼しているはずです。
ですから、かなさんに、これはこうだ、あれはこうだと説明しても意味がないのです。
確認するのであれば、専門家にお願いするしかないのです。
それゆえ、確定診断されていますよね、混同はないですよねという意味の発言でした。

また、診断した獣医師の見解が異なるようですが、これは仕方ないでしょう。それぞれ
に経験にも差があるはずですので。
腫瘍が自壊排膿しているのであれば、痛みがないということはないでしょうし、切除に
ついては、前回の記載にあったように30cmもマージンをとるのであれば、一度に全
てを切除するのは私は無理だと思います。ただ、腫瘍本体が5cmということであった
はずですから、マージンをあまりとらないということであれば、実施不可能ということ
でもないはずです。
この最初の投稿にありました、5cmの腫瘍に対して、切除範囲を30cmに予想して
いることが、まず切除できないということになっています。まあ、確かに、そういう条
件であれば、最初から切除できないというのも分かります。
しかし、2人目の先生が切除するというのであれば、この大きさでの切除を予想してい
るとも思えません。よほど、巨大な犬ということになってしまいそうです。

この点に関しては、複数の先生の意見が、いっしょになっているように感じられます。

診断治療と言う行為については、算数のように誰がやっても同じ答えに行き着くという
ものではありません。国語のように読解力や表現力によって、異なる解答が返ってくる
ものなのです。
複数の獣医師の意見や考え方について、無理に整合性をつける必要はないと思います。

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