意見交換掲示板過去発言No.0000-200607-162
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投稿日 2006年7月18日(火)11時11分 投稿者 プロキオン
眼球のメラノーマということなのですが、これは確定診断済みなのでしょうか? 眼球にできた腫瘍というと、たしかにメラノーマは発生頻度が高いと考えられます。 が、しかし、同時に形成された部位によっては(眼球内部では)、ひじょうに検査 しにくく、診断に苦慮するところです。 知人の病院から、1歳のオーストラリアンシェパードの虹彩に何かできているという 症例がまわってきとことがあります。 状況とすれば、右目の9時の位置に黒い折り紙を置いたようにわずかに厚みのある扁 平な組織が形成されていました。この虹彩の表面よりも厚みがあって、前方に出てい るというところで大いにメラノーマが気になってしかたありませんでした。年齢が1 歳ですから、メラノーマであれば、由々しきことです。 細胞診ができかねましたので、これはメラノーマの手術をしたことがある県内の兄弟 子に診断を仰ぐことにしました。でも、この兄弟子も診断しかねまして、私達の師匠 の病院まで行っていただくことになってしまいました。結論を言えば、虹彩の色素沈 着であろうということに落ち着きました。 なぜ、こんなことになるかというと、角膜にメスを入れて、虹彩の一部の細胞を採取 することが、やりつけていない者には大変怖いことだからです。虹彩は血管も豊富で すから、出血させてしまうと眼の中が血の海で外からは止血しようがありません。 また、悪性のメラノーマであれば、眼球の摘出が考えられなくてはなりません。メラ ノーマ自体は良性腫瘍とは言いがたいのですが、老齢個体の眼球ということであれば 進行がさほど早くなく、それなりに経過を見るということができないこともないでは ないのです。 それが1歳であれば、経過が遅いということもなかろうということで、それだけこち らにプレッシャーがかかってくるわけです。 メラノーマであれば眼球を摘出しなくては生命に関わることとなる可能性もあります が、もし、違っていれば、その犬は無駄に片目を失ってしまうことになります。 「私には分かりません」と逃げたいところなのですが、見逃すわけにもいかず、過剰 に反応してもなりませんし、考えた結果が、できうる限り大勢の目で判断してもらう 、できるだけ経験のある者の意見を聞くということでした。 まあ、兄弟子も、同じように考えて師匠の意見を求めたということになりそうです。 なんとも頼りない話だなあと感じられるかもしれませんが、診断として確定できない のに、その結果が重大である場合、やはり獣医師も悩むのです。 あやふやな根拠で外観をそこねる処置をとってしまうことには躊躇うのです。 過去にメラノーマの手術で眼球摘出を実施した兄弟子にしても、病理組織診断の結果 が帰ってくるまでは、胃が痛くなる想いで眠れぬ夜を幾夜も過ごしたそうです。 相手がメラノーマであれば、普通であれば、眼球摘出手術が適応されると私は思って おります。 少し前にも、眼球摘出手術が大学病院でもないと実施できない言われたというような 投稿がありましたが、別にそこまで難度の高い手術ではありません。交通事故で眼球 が脱出してしまったとか、緑内障で眼球破裂の危険がでてきたとか、有無を言わさぬ 事情であれば街医者のレベルでも実施されてきている手術なのです。 そのときにも言いましたが、技術的なできるできないではなく、気持ちとしてのでき るできないの問題なのではないでしょうか? ただし、眼球摘出後の義眼を入れて外観を補正するというところまでのことを考慮し ますと、こちらは、どこでも誰でもというわけには行かないでしょう。 個々の眼窩の大きさや形態に応じて義眼床を作らねばなりませんので、これは専門家 の方がよいと思います。 ああ、これはメラノーマに間違いないという段階にまで進行してしまっているのであ れば、手術を引き受けてくれる病院を捜すということだけの問題です。 まだ、早期の段階でメラノーマであるか否か確信が持てないという状態であれば、で きる限り大勢に、そして経験ある者に診て貰う必要があります。 また、先ほど触れましたようにメラノーマであっても経過を見ることができる場合も ありますので、併せてそちらについても意見を求める必要があります。
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