意見交換掲示板過去発言No.0000-200608-167
re: レントゲン撮影の頻度についての質問 |
投稿日 2006年8月20日(日)13時42分 投稿者 プロキオン
X線の照射については、許容被ばく線量が定められているのですが、この基準は本来 X線の照射を実施する者についての値です。 医療用の被ばくは、患者の利益となる部分がマイナス面よりも上回るためにカウント から除外されるということになっています。 「そんな都合のよい」と感じられるかもしれませんね! 実は、私達は大地や空気そして宇宙からも放射線を浴び続けています。そのような放 射線を「自然放射線」と呼んでいますが、では、それはどのくらいの量なのでしょう か? 定番質問の回答集の「動物よくある相談」の方にも書いたのですが、私達が1 年間に浴びる「自然放射線」は、人間の胸部撮影の際のX線量のだいたい25回分く らいに相当します。 これは、1年という期間内に25回胸の撮影を受ければ、1年余分に生きて自然放射 線を浴びたことになります。別の言い方をすれば、富士山の頂上で1年を過ごせば、 やはり同じように1年分を余分に浴びたというようにもなります。航空機の乗務員の 方も1年飛行しつづけというわけにもいきませんが、一般の方よりは多く浴びている ということになります。 つまり、何が言いたいのかというと、私達は、「自然放射線」というものに対しては ほとんどの方が気にしておらず、医療用被ばくと言っても自然放射線の1年分に相当 するまでの線量には、まず到達しないはずであるということです。それ故、患者の利 益となる部分の方が優先されているということになります。 患者がポメラニアンということであれば、人間の胸部撮影と比較しても、より上回る 線量ということにもならないように思いますので、むしろ少量のはずですので、あま り心配なさる必要はないように思います。 もっとも、生殖腺の細胞、受精卵、胎児等の極めて若い細胞は、大元の部分でX線は 浴びていない方がよいのも確かなことでして、不必要な撮影を避けるのにこしたこと はありません。 原則として、不必要な被ばくは避けるで良いのですが、実際の線量というのは、被ば くという言葉を用いなくてはならない程の量ではないのです。 人間20歳になって、成人式をむかえるのであれば、すでに500回ほどはX線の撮 影を受けたことに相当しますので。40歳であれば、1000回ですよね。 被ばく線量というのは、累積して考えていくものなのですが、1回、1回の線量はさ ほど問題とはなりません。自分や動物がどのくらい累積となっているのかは、承知し ておいた方がよいことであり、余計なX線も避けて欲しいところなのですが、一般的 な生活を送っている者であれば、危険量に達すると言う事態は、意識せずとも避けら れていることになると思いますよ。
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