獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200608-51

うままままさんへ〜高齢うさぎの開脚姿勢〜
投稿日 2006年8月5日(土)15時25分 投稿者 山下 貴史

大変ですね。僕も見ていないのでなんとも言えませんが可能性だけで言えば脊髄疾患・ビタミンE欠乏症・動脈硬化からの血栓症などが疑えると思います。

それぞれの病気の一般的なことを・・・

<脊髄疾患>
 骨折や脱臼によるものが一般には急激に発症させると思います(他にも感染・腫瘍・血管が詰まることなどもあります)。中には急死もありえると思います。けっこう食欲は変わらないことが多いように思えますが、数日間なくなることもあります。多くの場合、意外と排便には問題が無いのですが、排尿は垂れ流しなどが多いかも。尿が出づらい場合もあるのですが、こちらのほうが尿毒症など命に関わることになると思います。尿によるかぶれや床ずれでの皮膚炎が一番気になるものになります。
 診断は頭部から尾部までのレントゲン撮影になります。場合によっては造影をすることもあると聞きますが、僕はしたことがありません。それと神経がどのくらい反応するかの検査もこれからを知るためには有用なことがあります。場合によってはCT・MRIも利用可能ですが、なかなか紹介先が無いのが現状でしょう。
 治療は骨折・脱臼などであれば外科も可能ですが、正直なかなかいい結果に繋がらないことが多いと思います。ステロイドは48時間以内の使用でより有効です。僕は利用したことは無いですが、車椅子を使っている写真を見たこともあります。(どこで売ってるとか知らないです。多分手作りかと)

<ビタミンE欠乏症>
 いわゆる筋ジストロフィーのようなものです。安いペレットや保存状態の悪いペレット、コクシジウム(肝臓)などの関与を考えます。やせてきて、筋肉が無くなって、しまいに歩けなくなるという感じの病気です。
 診断は症状で判断してビタミンEを与えて反応見たりします。 

<動脈硬化>
 うさぎさんは動脈硬化になりやすい動物で、実験動物でもあります。発生原因はいろいろ考えられてるのですが、僕はよく知りません。食事のことが多いと聞きます。胸のレントゲンで見える範囲に起こることが多く、それによる血栓症は下半身を麻痺させることがあると聞いています(僕は下半身不随させている動脈硬化は診たことありません)。多分有効な治療法は無いと思います。

ちなみに開張脚は生後数ヶ月でおこる遺伝病なので、今回の場合は違うかもしれません。もちろん、上記の病気の中に答えがあるとも限りません。僕が思いつく代表的な病気と思ってください。

最後に個人的に思うことは・・・通常僕でしたら、一般身体検査、神経の検査、網膜の検査、頭部〜尾部までの横&仰向けのレントゲン±血液検査程度で、原因がつかめない場合は、支持療法(ケア中心の介護や皮下補液、鼻チューブからの流動食)入ることがほとんどです。その理由は・・・おそらく診断が確定しても、骨折や脱臼以外では、コレと言った治療法が無く予後が悪いからです。つまり、例えばMRIで脊髄に腫瘍が見つかったとして、外科をするか?ということですよね。しかもうままままさんのおっしゃる通りでオシリが痛そうだったり、皮膚の潰瘍が出てきたりで、結局はケアしながらどれだけうさぎさんが苦しまないか?ラクになれるか?を模索するしかないことが多いので、お金をケアにかけるほうが実際的かな?と考えるからです。

ケアに関しては、様々なHPで参考なるような生きた知恵みたいなものをよく見かけますので、そちらを参考にされたほうが実践的かもしれません。

◆獣医師広報板サポーター◆
獣医師広報板は多くのサポーターによって支えられています。
以下のバナーはサポーターの皆さんのもので、口数に応じてランダムに表示されています。

サポーター:新日本カレンダー株式会社ペピイ事業部様のリンクバナー

サポーター:ペットコミュニケーションズ株式会社様のリンクバナー

サポーター:ペット用品通販Gズ\ィエ.COM有のリンクグオー

あなたも獣医師広報板のサポーターになりませんか。
詳しくはサポーター募集をご覧ください。

◆獣医師広報板メニュー
獣医師広報板は、町の犬猫病院の獣医師(主宰者)が「獣医師に広報する」「獣医師が広報する」
ことを主たる目的として1997年に開設したウェブサイトです。(履歴)
サポーター広告主の方々から資金応援を受け(決算報告)、趣旨に賛同する人たちがボランティア
スタッフとなって運営に参加し(スタッフ名簿)、動物に関わる皆さんに利用され(ページビュー統計)
多くの人々に支えられています。

獣医師広報板へのリンクサポーター募集ボランティアスタッフ募集プライバシーポリシー

獣医師広報板の最新更新情報をTwitterでお知らせしております。

Copyright(C) 1997-2024 獣医師広報板(R) ALL Rights Reserved
許可なく転載を禁じます。
「獣医師広報板」は商標登録(4476083号)されています。