獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200609-196

RE RA系阻害剤 &慢性腎不全について
投稿日 2006年9月14日(木)12時42分 投稿者 X

まず、ご質問者への回答ではありません、というより
その解答は学術的に認められた報告(論文)があるかどうか
だと思います、またあったとしてその信憑性・評価は?
というのが回答になるとおもいます。
そこで...すみません、そういう論文があるか私はしりません。
(あるものはあると簡単に言えるのですが、ないとはそう
 簡単には言えません。)

ただ、せっかく?ですので犬・猫の慢性腎不全及びその治療について
あくまでも、一般飼い主さん向けに・・・

まず、腎臓の主な働きについて
腎臓の主な働きは血液の浄化・・血液を濾過することです。
腎臓に流れ込んできた汚い血液を濾過し老廃物をそれなりの水と一緒に
尿として膀胱へ流して血液をきれいな状態に保つこと..これが腎臓の主な働きです。
そして、その濾過のためには腎臓内の適度の血流が必要になります...
適度な血圧が必要だということです。もし、(極端に)血圧が低ければ、
腎臓へ流れ込む血液が減りうまく濾過できないばかりかそれによって
腎臓そのものの組織(細胞)も壊れ 腎臓機能も落ちます。また、
血圧が高くても組織(細胞)が壊れ 腎臓機能が落ちます。

そこで、腎臓に何かしらの障害がおき、その機能が落ちてくると
それでもなんとか濾過機能を保とうと体が反応します。その方法として、
出口...きれいになった血液がでていくところを縮めようとします。
入り口(注ぎ口)が(ほぼ)そのままで出口が縮まると中に残る血液は
増えます...それによって濾過率も高まるのですが圧も高まり、場合によっては
その圧の上昇でまた組織(細胞)が壊れ 腎臓機能が落ちそれでもっと
出口を縮めようとして....という悪循環が起きます。

そこで、どうするか....どう治療するかというと、
生体反応によって過剰に縮まった出口をちょっとゆるめてあげる...
それによって腎臓内の圧を下げてさっきのべた悪循環を断ち切り
またほかの治療で腎臓を助けながら回復を待つもしくは悪化を防ぐ・鈍化させる
というふうにします。そのとき使われるのがRA系阻害剤です。

ということで、一見腎不全にRA系阻害剤はよさそうに思えるのですが、
ひとと犬猫の慢性腎不全でまったく違うところがあります。
それは、体のなかの水の量です。ひとの場合は、慢性腎不全になると
おしっこがでなくなり体に水がたまります、一方犬猫の場合はおしっこが出すぎて
(でも、老廃物の量は少ない...薄いおしっこ)体の水が少なくなります・・脱水。
・・・ここからはまったく根拠のない私見・・・・
もう一度、RA系阻害剤を使って出口をちょっとゆるめてあげる..これはこれで
いいと思うのですが、もし出口だけ広げて入って来る量が少なかったら....
腎臓内の血液量は減ってますます濾過率が悪くなって腎臓にもダメージが...ですから、
慢性腎不全の進行または他の理由で脱水状態になっている時に
RA系阻害剤は使ってはいけないような・・・。ですから、使うなら
初期で食欲もあり脱水状態でない時期もしくは点滴などで体に充分に
水分がまわっているときにだと思います。よって、
犬猫の慢性腎不全にRA系阻害剤は有効かどうかは一概にはいえないと思います。
ちなみに、ひとの場合はさっき書いたように水あまりの状態になっているので
RA系阻害剤は無条件に?いいように思います(専門外のまったくの無責任発言)。

もう一度、結論として
犬猫の慢性腎不全にRA系阻害剤を使用する場合は慎重に...と思います。

それと、犬猫の慢性腎不全の他の治療について....その前に
特徴的な症状・・のどが乾きます。先にも述べたように犬猫の場合は
慢性腎不全になるとおしっこが薄くなります、量が増えます...
臭くない色の薄いおしっこ。本来残しておかないといけない水まで
おしっことして流してしまいます。そこで、それを少しでも補おうとして
水をたくさん飲みます。要するに、
飲むから出るのではなく、出るから飲むということです。ですから、
おしっこが多いからといって絶対に飲水量を制限してはいけません。
慢性腎不全になりそれが進行してくると、
水を飲んでも間にあわないくらいおしっこがでてしまい脱水になり
それによってまたまた障害がでてきて...となります。ですから、
慢性腎不全での第一の治療は点滴などでの水分補給です。また、
腎臓の仕事を助けるために老廃物の腸からの吸収を少しでも減らすために、
そのような食事そして吸着剤(活性炭のようなもの)を処方します。それと、
絶食による体力の消耗そして自己消耗?による老廃物の増加を防ぐためにも
適切なカロリー摂取が必要となりそのために食事を取らせることが大事です...
場合によっては、処方食にこだわることはないと思います。その他、
体液電解質バランスの補正そして貧血治療...
腎臓は血液をつくれという命令を出しています。そこで、
腎臓が壊れそれが減ってくると貧血となります...などがあります。
詳しくは主治医の先生へ...。

以上、私なりに一般飼い主さん向けとして書いてみました。
(一般飼い主さんにとって)大事なところが抜けている、明らかな間違いなどそして
わかりづらいところがあればご指摘ください。

最後に再度ご質問者さまへ....今一度、
主治医の先生とよく話合われそのなかでわかりづらいところ(聞きづらいところ?)
があれば再度ご投稿されてはいかがでしょうか?

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