意見交換掲示板過去発言No.0000-200612-61
re: プロキオン様、(狂犬病関連) |
投稿日 2006年12月11日(月)11時02分 投稿者 プロキオン
>感染してすぐにワクチンを接種すれば発病を防げるとのことでしたが、つまり「キャリア」の状態ということになるのですか?もしそうであるならば、血液感染などで他の方に感染させることもありえるのでしょうか? 体内にウイルスとそのウイルスに対する抗体を同時に保有している状態(時期)というのは、一時的には考えうることと言えます。ただ、その状態が即「キャリアー」とは言えません。 通常は、抗体の影響を受けることなく「他者への感染能力を有した状態のウイルス」を運搬・排泄しているものを指して言っています。 したがいまして、暴露後接種によって狂犬病に対して免疫が成立した人間からであれば、ウイルスの排泄もないので、感染の恐れはありません。 咬傷直後であって暴露後接種の途中の場合は、はっきりとしたことは分かりませんが、そういう状態からの感染の報告がないようですので、おそらくは危険性はないのではないかと考えています。 と、言いますのは、先日から繰り返して述べているように狂犬病ウイルスには「ウイルス血症」がおきにくいという現象があるからです。ウイルス血症とは、簡単に言ってしまえば病原体ウイルスが血液中に出現して感染細胞を広げていく現象です。 このウイルスが血液中に出現して流れている状態がほとんどないのですから、血液を介しての他者への感染の機会というのも、きわめて低くなりますし、ウイルス自体も他者への感染成立に必要なほど増殖はしていないと考えられます。 狂犬病ウイルスからみると、量的にも、時間的にも他者への感染成立は容易ではないということですね。 実際に感染の危険性が出てくるのは、受傷後1〜3ヶ月あるいは半年以上経過してからの発病期からです。 この時期になると脳の神経組織からのウイルスが感染に充分な量として、血液中に供給されてきますので、血液を介しても唾液を介しても、感染が成立するようになります。 まとめて言いますと、感染能力を有したウイルスを排泄している状態が「キャリアー」であって、狂犬病の場合は、「ウイルス血症」がおき難いので受傷直後であれば、他者への感染源とはなりにくい、暴露後接種で免疫が成立していれば、まず可能性はない、ということになります。 犬の場合は、ウイルスが存在していること自体が好ましいことではないので、防疫上の措置をとるということなのです。 人間においても発病してしまっている患者さんの場合は、転機もすでに決まったものですし、ウイルスの拡散防止も必要なのですが、さすがに人間としての対応をとるのは礼儀とも言えるでしょうし、それが医療です。 # 獣医療は、最初から、制限のある医療ですから、対応には差が生じます。
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