獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200701-156

Re:ねこの癲癇と避妊手術
投稿日 2007年1月24日(水)09時50分 投稿者 けりーずはうす

これは、個々の状態などで対応が違うと思うのですね。
てんかんや腎臓の細かな治療経過が分かりませんので、ごくごく一般的なことを述べるに過ぎないことをわかっておいてくださいね。

てんかんは脳の疾患です。それが上手く薬でコントロールされていたとしても、同じ脳に作用する麻酔薬が
その後、てんかんの状態に影響しないかと聞かれると、大丈夫であると保障することはできません。
明らかにてんかん発作を誘発しやすいとされる薬剤はわかっていますので、それの使用を避けることが重要です。
ただ、てんかんについては、「薬でコントロールできている」ということが麻酔の悪影響を少なくする条件ではないかと思います。

そして腎臓についてはレントゲンも拝見できませんし、血液検査、猫さんの状態も把握できないので、主治医の先生が
麻酔に耐えられない状態であると判断なさるのであれば、私達はそれに反論する材料を持ちません。
しかし、一般的に、腎臓に疾患を抱えている動物の麻酔は、「不測の事態」の確立が高くなることを
飼い主さんに了承いただかなければなりません。
それは、麻酔をかけるということは、呼吸、循環などを抑制することになりそれが一気に腎臓病の悪化を招くかもしれないということです。
腎臓は2個あり、対症機能が可能ですので、1個が機能不全に陥っても、もう一方が正常に機能していれば、血液検査は正常です。
通常我々個人開業医のレベルでは、手術前に血液一般検査は行なっても、レントゲンを撮ることまではほとんどがしていないと思います。
であれば、実際には腎臓が1個だけしか機能していない状態でも、血液検査で腎臓の値が正常値であれば
全くそういった状態を把握しないで避妊、去勢手術をしてしまったということはよくあるのではないかと思います。
つまり、血液検査上、異常が認められないなら、ある一定の条件を飼い主さんに了承いただいて手術に踏み切ることもあるでしょう。

しかし、腎臓が1個しか機能していなく、しかもその1個も機能不全に陥っているのであれば、麻酔をかけるということは
かなりの危険を伴うと言うことをしっかり認識していただいた上で行なうことになります。
しかし、この「麻酔をかける」のはこの手術をしなければ、助からない病気であることが条件であるともいえるでしょう。
後者の状態で、避妊手術に二の足を踏む獣医師であるほうが、通常であるともいえます。

どうしてもとおっしゃるのであれば、セカンドオピニオンを求めることも考慮にいれてはいかがでしょうか。

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