意見交換掲示板過去発言No.0000-200704-182
ある多頭飼い崩壊の想い出 |
投稿日 2007年4月23日(月)10時50分 投稿者 ムクムク
動物病院を開業して日も浅い頃でした。 馴染みの地域動物愛護家が相談にこられました。 市営住宅でイヌネコ共に二十数頭ずつ飼育されている方が病気になった。 民生委員の尽力で市立病院に入院することになったのだが、動物をおいては 入院しないといって周囲を困らせている。 何とかしてくれないかとの相談でした。 私が会うと、飼い主さんは全部安楽死してくれと言われました。 用意を調え、現場に行ってみると家の周囲には多数の人がいて、 私に「殺すこと無いじゃないか」とか「保健所に頼むべきだ」とか 口々に問いかける。 私は一切問いかけに答えることなく家の中に入り、飼い主さんの希望通り すべての動物を安楽死し、間に入られた方たちが一匹ずつ丁寧に包みました。 作業を終えた時、その飼い主さんは布団の中から私の手を握り、「ありがとう」 と言ってくれました。 その二日後その方は病院で亡くなられたそうです。 一週間くらい経った頃、間に立たれた方がみんなで集めたお金ですと 5,000円持ってこられました。 当時犬の2種混合ワクチンの接種料金がそのくらいの価格で、正直 手間賃どころか薬代にもなりませんでしたが、ありがたく頂戴しました。 今にして思うと、私のしたことが良かったのかは結論が出ませんが、 その飼い主さんは立派だったと私は考えています。 自分がかわいがっていた犬や猫を、自分の息のある間に自分で責任を 全うした。 私もなるべく人に迷惑をかけることなく、生涯を終えたいと考えています。 ムクムク 獣医師広報板 www.vets.ne.jp 意見交換掲示板 2007/04/23 (転載自由・改変不可)
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