＞フィラリア症は、なぜ咳が出るのですか？
肝臓や心臓が悪くなるのは分かるのですが、咳との関係が分かりません。


フィラリア症は、心臓が冒されるだけではなく、心臓という循環器を介して全身の多臓器が冒される病気です。
早い話が、肝臓には、高度の線維化もおき肝硬変へと移行してきますし、腎臓も糸球体やボーマン氏嚢に蛋白質の沈着が生じて腎炎を呈しているのと同じような状態となります。
これらの病変は、いずれも循環不全に関連してきますので、全身の血液が循環しにくくなります。
また、当然肺動脈や右心房が主たる寄生部位となりますから、肺から心臓へ戻ってくる血液が循環しにくくなります。この場合、流れにくくなった血液は肺にうっ血することとなります。うっ血が進んでいくとどうなるかというと、肺の中の血液の量が増えて、肺の血管は交通渋滞を引き起こします。
この結果、行き場のなくなった血液の中から液体成分が血管の外へ漏出して、肺胞内にでてくることとなります。つまり、肺の中が水が溜まるような状態になるということですね。肺胞に水が溜まっているとその分酸素が取り込めなくなるので、犬にとっては困ったこととなります。フィラリア症の咳というのは、その余分な肺の中の水分を外へ逃がすための動作ということになります。
肝臓や腎臓、そして本家の心臓は病気が進行すればするほど、全身の血液が流れにくくなりますから、咳をする頻度は高くなります。
肺の中に充分な酸素を取り込む必用にせまられて、咳をしているということになります。