獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200708-27

Re:心臓のお薬の併用についての疑問
投稿日 2007年8月5日(日)04時07分 投稿者 Big 1

ACE阻害剤とスピロノラクトンは、併用禁忌(併用してはならない)ではなく、併用注意な組み合わせです。ともにカリウム保持性があるため併用すると血清カリウム濃度が上昇する可能性があるから、とされています。一方で、スピロノラクトンには心筋保護作用があることから、うまく使うと生命予後を改善する(延命する)ことが確認されています。このためごく少量のスピロノラクトンを組み合わせて使うことは間違っていないと思います。

肺水腫対策の場合は、通常であればループ利尿剤であるフロセミドが先に使用され、それで不十分なときに追加する形でスピロノラクトンが使用されるようになることが多いと思います。犬では、このような使い方をした場合はカリウム濃度上昇は少ないようですが、無いわけではありません(私は経験しています)。

ちなみに、このことについてある大学の先生に質問したときは「利尿効果がでているのであれば上昇ではなく、むしろ下がるでしょう」という答えが返ってきました。

いずれにせよ、定期的な血清電解質のチェックをして使用量を調整することは必要ではあると思います。

なお、最近ではフロセミドの代わりに、同じループ利尿薬であるトラセミドという薬が使用されるようにもなってきました。トラセミドには、スピロノラクトンと同様の心筋保護作用があるようで、フロセミドよりも延命効果があると言われています。ただし、フロセミドよりも薬価がかなり高いのが欠点です。

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