意見交換掲示板過去発言No.0000-200709-50
Re:子宮蓄膿症について |
投稿日 2007年9月8日(土)11時08分 投稿者 プロキオン
>子宮蓄膿症にかかっている子の尿にはO−157と類似した細菌が含まれていて それは死亡の原因になると聞いたのですが、本当でしょうか? O−157というのは、大腸菌の血清型の1つにすぎません、細菌名とすれば大腸菌と呼ぶことになります。 また、子宮蓄膿症の誘引となる細菌としては、大腸菌はかなりの比率となりますので、「O−157に類似した細菌が含まれていて…死亡の原因となる」の部分は、性格ではないのですが、言いたいことの意味としてはあたっていると思います。 ただ、「尿に」部分となると、これは別の話です。 子宮内にいる大腸菌は、腎臓へも膀胱へも移行していません。細菌自体は子宮内に閉じ込められているからこそ、敗血症も起こさずに1〜2ヶ月の経過をとって子宮蓄膿症を発症することになるのです。 子宮蓄膿症に基づく腎不全というのは、この病気の死因としては大きなものなのですが、この腎不全は「細菌」ではなく「細菌が生産する毒素」に由来しています。細菌毒素の分子量が細菌自身よりも小さいので、細菌では通過できない関門をすり抜けて腎臓に被害を及ぼすということになるのです。 ですから、「尿中にO−157がいる」という意味での趣旨であれば、この発言は誤っていることになり、訂正されなくてはなりません。 発言趣旨を並べ替えると、 子宮蓄膿症の原因菌には大腸菌が多く、この病気の子の腎臓はその細菌毒素によって腎不全を呈すことになる。そうなった場合は、死に至る場合が多い。大腸菌は毒素を産生するが、その中でも0ー157という血清型の大腸菌は有名である。 という趣旨になります。 おそらく、子宮蓄膿症の死因としての「腎不全」のことを理解してもらう必要があった。 そして、大腸菌毒素のことを認知してもらうのに有名なO−157に御登場願ったということだと思います。 O−157自体は、そんなにありふれた大腸菌ではなく、どこにでもいるということではありません。他の血清型の大腸菌も普通に毒素を産生します。子宮蓄膿症の場合は、その普通にいる大腸菌の仕業と考えて下さい。換言すると、どこでも誰にでも起こりえるということになります。
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