獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200712-119

Re:繰り返される子犬の下痢について
投稿日 2007年12月28日(金)11時45分 投稿者 パールちゃん

獣医学的なことではなく一飼い主の経験上のこととして読んでくださいね。

まず、ブリーダーさんのところでちゃんと初乳を飲んで育った子なのかどうかの確認をしてください。その結果を今の獣医さんに伝えることで免疫系の原因が隠れているんじゃないかどうかのひとつの判断材料になります。免疫系が原因ではなさそうなら違うアプローチに進めますし、免疫系も考えられるということならそれなりの治療を選択できるでしょう。

1の冷えからくる下痢でここまで長引くものなのでしょうかについては、仔犬は体力がありませんから少しの冷えでも下痢が続きます。下痢を完全に治して体力がついてからシャンプーをするべきだったと思います。全身をかく、手足を噛むといったことはすぐに命に直結することではありません。まず先に命にかかわること(下痢)に集中する、あとでいいこと(シャンプー)はあとにする、同時進行はよくないです。

2の薬を飲ませているのに状態が悪くなることはあるのでしょうか?については、もちろんあります。その原因に対して的確でない薬ならいったんよくなったように見えてもまた症状が再発しますし、薬が的確でも副作用のほうが強ければ状態は改善しません。抗生物質はおなかのなかの悪い菌を殺してくれますが、いい菌も殺してしまいます。下痢続きで消化吸収能力が落ちている仔犬がおなかのなかのいい菌までもなくしてしまうとそれがまた下痢の一因になります。だから整腸剤も処方されたわけですが、整腸剤の効果をうまく取り込めないほど仔犬の腸はダメージを受けていると思います。一度完全に腸を休ませるのが妥当かもしれませんが、それは仔犬の体力次第なので慎重な判断が必要でしょう。

3のここまで下痢を繰り替えすのは何か決定的な原因があるのかについてですが、あるかもしれないし、ないかもしれない。ただ、中途半端に薬を止めたり、シャンプーをしたりといった経過だけで充分に下痢を長引かせている理由になると思います。抗生物質はなにをどのくらいの日数使うかによって治るか長引くかさらに悪くなるか千差万別の結果になります。中途半端に使えば効果がない、かといって長く使うと耐性菌を作ってしまう、3日間飲ませるか5日間飲ませるかどちらがいいのかの見極めがとてもむずかしです。

これまでの経緯や投薬内容を把握しているという点では、4の転院したほうがいいのでしょうか?については私は「いいえ、そのまま」をおすすめします。投薬後少しよくなったときのことを思い出して、それをまた再現することを当面の目標にしたらいいのではないですか?

5の皮膚の病気から下痢をするようなケースはあるのでしょうか?については、発想が逆だと思います。下痢が続いて免疫力が落ちているから皮膚の代謝に影響してかゆみが出るということは考えられます。もともと皮膚の病気があって下痢につながっているということはまず考えられないでしょう。でも、全身をかいたり手足を舐めるのはどの程度やっていることなのでしょう。かゆくて眠ることもできず一日中かいたり舐めたりするほどひどいものではないでしょう? 何時間もかいたり舐めたりを続けているのでなければ皮膚の病気といえるほどのものではないのでは? 真っ赤になって脱毛したり、かき過ぎ舐め過ぎで出血したりしているわけではないですよね?

平熱、食欲・元気がすごくあるなら、今までで最もウンチがマシだったときのフードを量をセーブして与えるのがいちばんいいと思います。ブリーダーさんのところであげていたフードですね。生後84日になっているならお湯でふやかさずにそのまま食べられますね。お湯でふやかすとその水分が下痢を誘発させます。缶詰も水分量が多いので原材料自体がおなかに合っていても含まれている水分が下痢を引き起こすことがあります。脱水症状を起こさせるのはいけませんからお水は必要ですが、自分から飲む水だけにして、食べ物からは水分を排除するほうが下痢の改善にはいいですよ。
それと、牛乳は与えていませんよね? 牛乳は下痢の原因となることがありますから。

負担がかからないように一度に大量のエサを与えず5回から6回に分けて与えるのは仔犬に対してはもちろんそうなのですが、小分けで与えられて一日中腸を酷使しているともいえます。腸が休むヒマもないとそれも下痢の原因になります。生後84日なら3回でいいと思います。腸を休ませる時間を作ることで腸の粘膜が再生されていいウンチを作れる状態になります。

原因がわからないので疲れ果てているとお書きですが、原因をさぐるのは獣医さんに任せておけばいいです。飼い主は犬をよく見て、どのときがよかったか、なにをしたらよくなかったかを獣医さんに細かく報告するだけ。ぶりかえす下痢にめげてちゃいけませんよー。ぶりかえしたということはその直前にしたこと(投薬とか投薬中止とかフード変更とか)の結果の表れです。それをデータにすれば、しないほうがいいこととしたほうがいいことを絞り込んでいけますよ。

元気がある仔犬に悩んでいる顔は見せないでくださいね。大丈夫、ぜったいいいおなかに戻してあげるからとニコニコしてあげてくださいね。

◆獣医師広報板サポーター◆
獣医師広報板は多くのサポーターによって支えられています。
以下のバナーはサポーターの皆さんのもので、口数に応じてランダムに表示されています。

サポーター:新日本カレンダー株式会社ペピイ事業部様のリンクバナー

サポーター:ペットコミュニケーションズ株式会社様のリンクバナー

サポーター:ペット用品通販Gズ\ィエ.COM有のリンクグオー

あなたも獣医師広報板のサポーターになりませんか。
詳しくはサポーター募集をご覧ください。

◆獣医師広報板メニュー
獣医師広報板は、町の犬猫病院の獣医師(主宰者)が「獣医師に広報する」「獣医師が広報する」
ことを主たる目的として1997年に開設したウェブサイトです。(履歴)
サポーター広告主の方々から資金応援を受け(決算報告)、趣旨に賛同する人たちがボランティア
スタッフとなって運営に参加し(スタッフ名簿)、動物に関わる皆さんに利用され(ページビュー統計)
多くの人々に支えられています。

獣医師広報板へのリンクサポーター募集ボランティアスタッフ募集プライバシーポリシー

獣医師広報板の最新更新情報をTwitterでお知らせしております。

Copyright(C) 1997-2024 獣医師広報板(R) ALL Rights Reserved
許可なく転載を禁じます。
「獣医師広報板」は商標登録(4476083号)されています。