獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200801-68

Re:子猫へのワクチン接種量について
投稿日 2008年1月14日(月)16時25分 投稿者 プロキオン

>ブリーダーさん曰く、「純血種の子猫で抵抗力が弱いので、ワクチンは絶対に通常の半分の量にして貰って下さい。ワクチンの効果は半分の量でも変わりません。あと、ペロバックスは強すぎるので、それ以外の物にして貰って下さい。」

ワクチンは、必要な量の病原体が入っていないものであれば、目的とする免疫抗体価は得ることはできないと理解していただいて置いた方がよろしいように思います。
ワクチンを製造しているメーカー(開発者)がテストを繰り返して、猫を守るためには、それだけの量が必要であるという結論に至ったわけですから、製造に携わっていなかったものが異を唱えるためには、何かしらのハッキリとして根拠が必要です。
また、どのメーカーにおいても必要とされる病原体の量に特別な差があるわけではありませんから、まずもって必要な免疫抗体の量を獲得するためには、必要なワクチン量は同様になります。これは信用してもよいことのように思います。
純血種云々についてですが、当該猫はアレルギーをもっているという意味なのでしょうか? 
アレルギーがあるからというのであれば、それは猫の個体の問題です。純血種であることとワクチン接種量の間には因果関係はありません。
当該猫あるいは、親兄弟において、ワクチンアレルギーが発生しているということであるのであれば、そしてそれが重度のアレルギーであったということであれば、量を半分にするということではなく、接種そのものを見合わせたほうが良いということになります。アレルギーの場合であれば、量を半分にすれば起きないというものでもありません。

ワクチンの量を半分にするという問題ではなく、その猫がどのような猫であるかということの方が問題としては重要なように思います。
また、固有名詞のあげられているワクチンについては、俗説ということになると思います。含有されるウイルス量や添加物については、製造認可を受ける際の試験だけでなく、認証後の製品も動物用医薬品検査で検査を受けて合格したものしか流通させることができません。そのワクチンを接種すれば、おかしくなるというのであれば、私達はそのワクチンを使っていません。
当該のメーカーにしてみれば、確たる根拠も無く製品にクレームをつけられたと受け取るかもしれないくらいです。そのブリーダーさんが個人的になんらかの体験をされたのかもしれませんが、1つの事象が全てということにはなりません。一般論ということになると、むしろ問題のある発言になってしまいかねません。
せっかくの機会ですので、なぜ、そのような発言をなさったのか、根拠を尋ねてみてはいかがでしょうか。
「純血種だから弱い」とか「○○のワクチンは強すぎる」という言い方ですと、どうしても真実から離れてしまって誤解を招くことになると思うのです。

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