意見交換掲示板過去発言No.0000-200803-38
Re:乳癌検査は死期を早めるか |
投稿日 2008年3月12日(水)17時14分 投稿者 プロキオン
>もし癌だと検査で血管やリンパ組織が傷つけられ、その結果転移を早めるので死期を早めてしまうから検査はせずそのままにしておいた方が猫の負担が軽いといわれました。 猫の場合は、たしかに8割9割という数字で悪性であることが普通のようです。ですから、そのまま放置しておくと転移する可能性もかなりあることになります。これは手術するしないには関係なく転移が起こりえるということです。 そして、腫瘍の手術というのは、どのような腫瘍であろうと縦・横そして深さについて充分なマージンをとって切除することとされています。これは、つまり腫瘍から少し離れた位置から切除するということであって、腫瘍そのものにメスを入れるということではありません。切除手術が可能か否かという判断も実にこのマージンが充分に確保できるかどうかという点が極めて大切です。 換言すると、乳腺腫に直にふれるような手技をすること自体が問題であって、よく遭遇するであろう腫瘍に対して、切除できないというのではいささか心もとないです。 乳腺腫の転移は、切除が遅れた時の方が発生しやすいと思いますし、肺にも転移しますので、苦しまないということでもなく、負担がすくないということでもありません。 猫自身の負担を言うのであれば、できるだけ小さいうちに切除することの方だと私は思っています。 検査や手術が死期を早めるかという質問なのですが、私は「否」と答えます、逆だと思います。 乳腺腫は大きくなればなるほど、充分なマージンが確保しがたくなりますし、転移も発生してしまっている可能性も出てきます。執刀する側から見れば、手術は早ければ早いほど、簡単で負担も少なくて済みます。先送りにした方が良いという利点を私は知りません。 乳腺腫の手術を実施しないという場合は、すでに手術が意味をもたないという症例にかぎらせていただきたいです( 飼い主さんが希望しないと場合もありますが )。私は、主治医の先生とは意見を異にさせていただきます。
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