意見交換掲示板過去発言No.0000-200804-112
Re:Re:Re:突然倒れたウサギ・・・追伸 |
投稿日 2008年4月26日(土)11時09分 投稿者 プロキオン
斜頚があるかどうかは、ウサギを診ていませんので私にはなんとも判断できかねますが、もし仮にあるのであれば、エンセファリトゾーンは視野に入れておくべき疾病ですね。 ただ、mimiさんの記載されていた状況と経過では、私はエンセファリトゾーンの経過とは少し異なるように感じられましたので、今の時点では疾病の範囲を絞り込まずにいた方がよいように感じました。 ひとつ、説明しておかないとならないなと感じたのは、 「エンセファリトゾーン症には、効く薬は無いということでした。」 という記載です。 主治医の先生が、このようにおっしゃったのであれば、それは少しばかり話しを省略しすぎています。 エンセファリトゾーン、そのものは原虫であって、この原虫に対する駆虫薬は存在していますから、この原虫に感染しているのであれば、それは駆虫薬を服用させて治療に努める必要はありますね。 エンセファリトゾーン原虫や宿主側の免疫細胞によって、炎症が生じて、その結果神経症状のひとつとしての「斜頚」が発現します。このときの斜頚が炎症による神経失調ということであれば、神経細胞の保護や炎症を緩和し原虫を殺すことで、回復する段階があります。いわゆる「エンセファリトゾーンが治る」という現象もありえることになります。この段階をすぎてしまって、神経細胞が破壊されてしまうという次の段階へまで進行すると斜頚は治りません。そういうことがあるので、できるだけ早く、診断を確定して治療を開始しなくてはならないわけです。神経の治療ということだけであれば、エンセファリトゾーンの診断確定をまっている時間さえも惜しいということになります、こちらについてであれば、病院に行った当日から開始するべきでしょう。 神経細胞が破壊されてしまって、一旦遮断されてしまった神経回路であっても、リハビリの併用によって半年とか1年後とかに、残った神経細胞同士が連絡をとりあってあらたな回路を繋ぎ合わせてくれるということも起こりえるようなのですが、この現象は意図してできるものでもありませんし、期待して待つにはあまりに可能性が低すぎるようです。 斜頚そのものも、必ずしもエンセファリトゾーンを意味してはおりません。他の細菌もあるかもしれませんし、耳から来ているのかもしれませんし、頚部の筋肉からかもしれません。また、エンセファリトゾーンの感染というのも予想外に広くありまして、それらの個体のすべてが斜頚を発症しているわけでもありません。感染したままで悪戯をしない原虫もかなりあるようなのです。 それゆえ、エキゾチックペットの診療を手がけている獣医師のあいだでは、エンセファリトゾーンであるか否かよりも、神経症状を緩和あるいはその進行を停止させるための治療というのが重視されています。 エンセファリトゾーン原虫には効果のある薬は存在します。原因の如何に関わらず、斜頚であれば、治療に反応してくれる段階で処置しておかないとならないということなのです。その段階をすぎてしまった症例ですと、治る直らないはかなり厳しくなってくるという意味になると思います。 私が早く病院へ行くことを勧めたのは、そういう事があるからですし、チーママさんもウサギには詳しい方ですから、同じことを伝えたかったのだと思いますよ。
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