意見交換掲示板過去発言No.0000-200806-36
Re:フィラリア症は死を待つしかないの?! |
投稿日 2008年6月7日(土)22時07分 投稿者 Big 1
獣医師のBig 1と申します。 私も、循環器が得意かフィラリア症治療に詳しい病院を探してセカンドオピニオンを求めることをお勧めします。 フィラリア成虫が寄生して心臓にダメージが出ていることと、見た目の症状の重さは必ずしも一致しません。初期であれば、かなりの数が寄生していても見た目は元気であることは珍しくありません。 以下に、私の病院でのやり方を紹介いたします。 始めに書いておきますが、これが絶対というわけではありません。 フィラリア症の犬を多くみてきた経験から行き着いたと方法というだけですから、そのつもりであくまでも参考として読んでください。 私の病院では、予防薬処方前にフィルター集中法による血中ミクロフィラリア検査と、検査キットによる抗原検査を同時に行っています。 いずれか一方でも陽性になった場合には、さらに心エコー検査を実施しています。 1.心エコー検査で、肺動脈内寄生成虫が多数認められた場合。 基本的には、フレキシブルアリゲータ鉗子による吊り出し手術を勧めています。その結果、 a.同意が得られれば、できる限り摘出してから予防薬投与を開始します。(手術した犬のほとんどは、翌年春の抗原検査は陰性化してます) b.同意が得られなければ、手術しなかった場合のリスクを説明した上で、予防のみで様子見します。 2.心エコー検査で、肺動脈内寄生成虫が中程度認められた場合 a.同時に肺高血圧症が認められた場合には、吊り出し手術を勧めます。 b.肺高血圧が認められない場合には、手術した方がよりいい結果が得られると説明します。 (手術の同意が得られるかどうかで、1−a、1−bの対応をとります) 3.心エコー検査で、肺動脈内寄生成虫がごく少数しか認められなかった場合。 基本的には吊り出し手術の効果はあまり無いことと、少数寄生でもVCS(大静脈症候群:急性フィラリア症)となれば重い症状になる可能性があることを説明したうえで、予防のみで様子をみることを提案します。ただし万全を期したいという飼い主さんの強い要望があれば、吊り出し手術を受託する場合もあります。 基本的には、陽性の犬に対しては副作用を発症しにくくする薬を事前投薬してから、副作用の発生率が低い予防薬を投与してもらっています。 なお、予防開始前には以下のことを説明させてもらっています。 1.フィラリア陽性犬(とくにmf陽性場合)に予防薬を投与したとき、副反応(最悪の場合は突然死)がおきる可能性があること。 2.成虫駆除をしていない場合には、VCSを発症する可能性があること。 3.因果関係は解明されていないものの、予防薬投与によりVCSが誘発される可能性があるといわれていること。 ※写真は、手術で摘出したフィラリア成虫
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