意見交換掲示板過去発言No.0000-200810-6
Re:利尿剤について教えてください。 |
投稿日 2008年10月2日(木)12時03分 投稿者 プロキオン
>利尿剤のフロセミド(ラシックス)というのは、服用した時にだけ効くのでしょうか? 「服用したときにだけ」という意味がわかりかねますが、どのような薬剤であれ、服用もしていないのにもかかわらず作用するということはありません。 これは次の質問と同じ意味で、どのくらいの作用持続時間なのですかという意味での御質問でよろしいのですよね。 >何時間くらい効いているものなのでしょう? 注射薬であれば、数分後から3時間くらいまでが作用時間です。内服薬であれば、経口投与後の1時間以内に作用の発現がみられ約6時間ほど持続します。その後は、分解排泄されて24時間以内に体内から消失し、蓄積作用はないと説明されています。 実際に自分自身で服用してみますと、1時間以内という表現であっても、10分くらいでトイレにいきたくなります。ですから尿の生成ということについてであれば、経口投与であっても早期に作用発現があることがわかります。 >咳が出た時の対症療法にはなり得ますか? 気管支炎由来の咳であれば、直接的な効果はありません。しかし、循環不全に由来する咳であるのなら、効果は期待してもよいかと考えます。 >腎臓疾患と心臓疾患を合わせ持つわんちゃんの肺水腫の予防には、一般的にどういった利尿剤が使われるのでしょうか? 循環器疾患ということであれば、昨今は「アンギオテンシン変換酵素阻害薬」と呼ばれる血管拡張系の薬剤が選択されることが多いのではないでしょうか。 「強心剤(強心配糖体系)」や「利尿剤(チアジド系、ループ系、カリウム保持性等)」が最初から積極的に選択されるということは減少してきているのではないかと思います。これは、とくにこれらの薬剤がよくないというのではなく、血管拡張系の薬剤が長期的に服用していくうえで適しているということになるのだと思います。利尿剤もかつては第一選択役であった歴史があります。 また、腎疾患というのが、今どのような状態であるのか不明ですが、腎疾患という単語にだけ反応して考えれば、やはり利尿剤は選択されることとなります。 で、腎疾患と心臓疾患をあわせもつ犬を患者と限定した場合ですと、「一般的な」ということばではくくれません。患者の疾病としてのステージと重度さによって、どちらを優先したいという主治医の考えが出てくるように思います。 こうであらねばならないという教科書的なものはなく、主治医の経験と知識から判断によるところとなるのではないでしょうか。 成書では、アンギオテンシン変換酵素阻害剤と利尿剤の併用をしないようにという記載をよく見る事がありますが、肺水腫が起きているのをそのままにしておいてまで使用するなという意味ではないと思います。 御質問では「肺水腫の予防」という表現で記述されていますが、「肺水腫の予防」であれば私は利尿剤は併用しませんが、「肺水腫の発症」であれば投薬しますよ。 利尿剤自体も その特性がありますから、状況に応じて選択していくことになります。もうこれ以外にはないという答えがあらかじめ決まっているというわけではありません。
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