獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200902-53

Re:犬の口腔腫瘍について
投稿日 2009年2月20日(金)18時42分 投稿者 プロキオン

すでに けりーずはうす先生からもレスがついておりますが。

>2ヶ月程は腫瘍部分は何ともなかったのですが、また拡大し始めました。
今度は黒い盛り上がりで口が開いた状態で当たると以前よりも痛がります。

プラズマ細胞というのは、非上皮系の細胞ですから、腫瘍の分類としては「肉腫」ということになります。肉腫の特性としては、上皮系の細胞ではないため組織と組織をつなぐというような役割も担っていて、腫瘍の限界が結合組織に包まれて明瞭ということがありません。つまり、良性とか悪性とかに限らず、それだけ周囲への浸潤が強くなり勝ちです。
おそらく細胞の形態や核の悪性所見の程度から悪性度が低いという判断がくだされたのではないかと想像しますが、肉腫のケースでは、常に周囲への浸潤度と切除の際のマージンの確保に苦慮するところなのです。
また、発生箇所が口腔であり、犬歯近位とのことであり、切除のマージン確保や切除した部位を覆う皮弁の形成に苦慮したのではないでしょうか?
私も その理由から口腔内腫瘍については、かなり早期でない限り自分からは手をだそうとは考えておりません。ある程度大きくなってしまっている症例には、別の病院を紹介するよう心がけています。


>病院の先生に相談するも口腔腫瘍というものは珍しいらしく、どうして良いのかわからない状態です。
楽になるのなら顎の切除という方法も考えていますが、抗生物質など何か良くなるものなどありますでしょうか?

歯肉腫ということになると遭遇する機会はすくなからずあると思います。こちらですと、液体窒素による処置がとられることも多いかと存じます。
また、抗生物質は本来、その名称にもありますように生物とくに細菌を対象して、これを殺滅する物質ですので、腫瘍への適応は本来はありません。ただ、口腔に生じた扁平上皮癌にはブレオマイシンの適応があるようです。これは細胞分裂時におけるDNAの複製を阻害するという意図があるそうです。
もともと、腫瘍に対しては、その種類に応じた抗癌剤をもちいることが原則であって、相手がプラズマ細胞腫であれば、それに応じた抗癌剤が選択されなくてはなりません。

プラズマ細胞種は、普通は「多発性骨髄腫」という形態が多く、抗癌剤への反応から寛解導入が期待でき、短期における予後は良好とされております。成書によれば、メルファランが適応とされており、再燃時にはドキソルビシン、ビンクリスチン、デキサメサゾンの併用となっています。
髄外性のプラズマ細胞腫の場合は、口唇粘膜に孤立性に発生するとあり、予後良好であるから、外科的切除や放射線療法にて治療すると記載されておりました。


◆獣医師広報板サポーター◆
獣医師広報板は多くのサポーターによって支えられています。
以下のバナーはサポーターの皆さんのもので、口数に応じてランダムに表示されています。

サポーター:新日本カレンダー株式会社ペピイ事業部様のリンクバナー

サポーター:ペットコミュニケーションズ株式会社様のリンクバナー

サポーター:ペット用品通販Gズ\ィエ.COM有のリンクグオー

あなたも獣医師広報板のサポーターになりませんか。
詳しくはサポーター募集をご覧ください。

◆獣医師広報板メニュー
獣医師広報板は、町の犬猫病院の獣医師(主宰者)が「獣医師に広報する」「獣医師が広報する」
ことを主たる目的として1997年に開設したウェブサイトです。(履歴)
サポーター広告主の方々から資金応援を受け(決算報告)、趣旨に賛同する人たちがボランティア
スタッフとなって運営に参加し(スタッフ名簿)、動物に関わる皆さんに利用され(ページビュー統計)
多くの人々に支えられています。

獣医師広報板へのリンクサポーター募集ボランティアスタッフ募集プライバシーポリシー

獣医師広報板の最新更新情報をTwitterでお知らせしております。

Copyright(C) 1997-2024 獣医師広報板(R) ALL Rights Reserved
許可なく転載を禁じます。
「獣医師広報板」は商標登録(4476083号)されています。