獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200902-56

Re:ペットの猫が自分の足を食べました
投稿日 2009年2月21日(土)17時27分 投稿者 プロキオン

我が家にも下半身麻痺で後躯をひきずって移動する猫がおります。生後2ヶ月くらいの時に鼻気管炎を患った状態で捨てられていて、それから8年半ほどになります。膀胱の尿を搾ってあげないとなりませんので、これで10年はどこへも出かける事ができないなと当時は思いました。でも、実際には、どうも10年では済みそうもありません、もっと長く付き合うのではないかと感じています。

このような猫というのは、とくに珍しい存在ではありません。知り合いの動物病院でもしばしば遭遇しますし、「動物フォーラム」の方でもよく相談に登場してきます。
一番大切なのは、猫の境遇を飼い主が悲観しないことですね。私のところの猫は、平面だけの生活だけでなく、立体の世界にもチャレンジして高いところへもよじ登ろうとしますし、他の猫のあとを追いかけて、猛烈な勢いで移動していきます。狭いとこへも潜り込んでしまい足が変なようにひっかかって身動きが取れなくなることも よくあります。
猫部屋においてあるケージの網の隙間にもよく足を突っ込んでしまい。痛みを感じていないためか、足が折れそうな確度でも強引に力任せで引き抜こうとしたりしています。
そのような事がよくありますので、皮膚が裂けていたり、孔があいてしまったりはよくあります。お尻の皮膚もよく傷めます。
おそらく、何らかの理由で傷つけてしまい、血液が気になったのではないでしょうか。舐めてきれいにしようとしているうちに、痛覚を欠いていて、必要以上なことをしてしまったのではないでしょうか? 兎やハムスターでは負傷した足を自ら食いちぎるということをやってくれます。これらの動物は、被捕食動物ですので、その場で血の臭いをさせて動けなくなっている事よりも、その足を噛み切ってでも逃げることの方を選びます。その方が生存の可能性が高いからに他なりません。
猫は、捕食する方の動物ですから、足を噛み切ってまで逃げようとしたわけではないと思われますが、激しい痒みがあって尻尾をずたずたに噛み裂いてしまうというような例はあります。おそらく、何かしらの理由で足を傷つけてしまい、そのことが引き金となったのではないでしょうか。

処置については、普通の猫と同様です。下半身麻痺であろうとなかろうと処置にかわりはありません。下半身麻痺でない猫でも傷に執着していたずらするものはいくらでもおります。
また、猫自身も我が身の境遇を嘆いているわけでもありませんし、塞ぎこんでもいないはずですよ。だからこそ、あちこち動き回って傷を負ってくるわけです。特に他に猫や動物がいますと、猫自身もそちらへちょっかいをだしたりして、反撃されるときに動かない足を狙われるという事もあるくらいです。
基本的には特別扱いせずに 普通の猫と同様に考えていてよいと思います。

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