獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200903-93

Re4:マレック病
投稿日 2009年3月29日(日)11時04分 投稿者 プロキオン

マレック病ウイルスの清浄化については、相当に困難かと思います。養鶏業界においてもなしえておりません。
これは、ウイルスが広く蔓延してしまっていること、そして種鶏場レベルでの汚染が存在しているためでもあります。野外から侵入してくるウイルスも考えられますし、導入した鶏がすでに感染しているというケースも考えられます。
まあ、そこまで言ってしまうと鶏でもチャボでも飼育することができなくなってしまいますが、鶏舎の消毒だけでは防ぐことができないかもしれないという意味で受け取ってください。

養鶏業界において清浄化が困難な理由に 鶏舎を空けたままにしておくことができないというのがあります。ウイルスが継続的に存在していくためには生きた鶏の細胞が必要です。鶏舎内に消毒してもすぐに次の鶏が導入されてしまえば、ウイルスはその導入鶏の体内に侵入して生存していくことが可能となってしまいます。
したがいまして、鶏舎内を徹底的に清掃・消毒した後にウイルスが継代されないために鶏のいない空舎期間をそれ相当にもうけないとならないわけです。業として飼育している場合ですと、経済的な理由からこの空舎期間を充分にとれないため清浄化もむずかしくなってしまうわけです。
小学校における飼育であれば、経済的な理由はあまり関係がなくなりますので、空舎期間をとることには問題ないと考えられますが、この期間は半年ではまだ足りないように思います。本来的には「年単位」で考えていく必要があるのではないでしょうか。

その期間を充分に確保することが、学校事情として可能か否かが1点あります。もう1点として、今回の発病に至った感染ルートの解明が残っています。ウイルスがどこからどのように侵入してきたかが、分かっていた方が良いと思います。
このような感染症というものを相手にするときには、ただ消毒すれば終息するというのではなく、次を見据えて、疫学的な調査も欠かすことは出来ません。それがないとただの繰り返しになりかねないからです。
ただ、残念ながら、この疫学的調査については、小学校の教師の領分からは外れてしまうように思います。家畜保健衛生所が そこまで協力してくれるかとなるとちょっと心もとないところもありますし。
でも、マレック病ウイルスがどのような性質をもっていて、通常どのように感染していくということを勉強して、学校の事例にあてはめて、どのように侵入してきたかを検討しておくということは、これはもうワクチンと同じくらい益とするところです。私の同級生の女医さんは、これを「知識のワクチン」と称して著書の中で記しています。

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